まずは「埴輪」を見てみよう
《埴輪 挂甲の武人》栃木県真岡市 鶏塚古墳出土 古墳時代・6世紀 橋本茂氏・橋本庄三郎氏寄贈
会場では、身長157cmの私と目線が合うような高さに置かれて、ドッキリ。
埴輪は、古墳時代と呼ばれる3~7世紀頃につくられました。初期の埴輪は円筒だった、と日本史で習った記憶がありますよね。古墳の墳丘などに並べられた埴輪の形にも歴史があって、人物埴輪は6世紀頃から登場します。
頭にかぶとをかぶって武装をし、手に持つ大きな刀を抜こうとしているさまも勇ましいですね。道具や技術も未熟であったに違いない時代に、大陸から伝来した技術を用いたり、豊かな感覚で表現しようとしていたことが分かります。武人を表した埴輪は、茨城、栃木、福島県から出土し、つくった人たちの交流範囲の広さを知ることができます。
また、古墳からは、金属やガラスでできた装飾品も出土したり、壁にカラフルな壁画が描かれている場合もあります。「埴輪」のつくられた背景を知ると、もっと面白く楽しめますよ。
仏像も見ていくと奥深い
つづいて仏像が並ぶコーナーへ。6世紀半ばに、百済から仏教が伝わって来ました。人々の信仰を集めるために、曼荼羅図のような絵や仏像のような立体という造形物がつくられ、新たな文化が花開いていきます。仏像、とひとことで言っても、顔かたちやつくりかたは時代やエリアによって異なります。例えば、現在のアフガニスタンやパキスタンでは、洋風な顔立ちで知られる「ガンダーラの仏像」がつくられたり、中国では絶壁の岩をくりぬいて石仏が彫られたり、といった具合です。仏像を制作は飛鳥時代の日本でも広まり、日本各地でいろいろなタイプの仏像がつくられるようになりました。
《銅造聖観音菩薩立像(模造)》原品=奈良県薬師寺 昭和時代・20世紀、原品=飛鳥~奈良時代・7~8世紀
直立した姿が全体的にスマートであること、身につけている衣服の裾のひだが左右対称であること、とがった鼻やほんのり笑顔のアルカイックスマイル、といった表現は中国の唐時代の影響です。
他にも仏像には、如来、菩薩(聖観音はこのひとつ)など、いろいろな種類もあり、顔かたちが異なります。
エリアや時代によってルックスや素材が違う「仏像」。
調べながら見て回ると、きっとハマります。
【展覧会情報】
展覧会「日本美術の流れ」
※展示室や作品によって展示替えの日が異なります。
今回紹介した展示室
・1室-1「日本美術のあけぼの」 2013年5月6日まで
・1室-2「仏教の興隆」 2013年3月24日まで
東京国立博物館 本館(日本ギャラリー)
http://www.tnm.jp/
北川宏人さんの作品を見ることができるイベント・展覧会
■アートフェア東京2013
2013年3月22日~24日
東京国際フォーラム(有楽町)
http://artfairtokyo.com/
■個展
Yoshiaki Inoue gallery
2013年7月(詳細日時未定)
http://www.gallery-inoue.com/
■個展
東京画廊
2013年11月(詳細日時未定)
http://www.tokyo-gallery.com/
これからオススメの展覧会(2013年3月21日現在)
河井寛次郎《打薬扁壺》 1962年 京都国立近代美術館所蔵
開館50周年記念特別展
交差する表現 工芸/デザイン/総合芸術
2013年3月16日(土)~5月6日(月)
京都国立近代美術館
http://www.momak.go.jp/50th/index.html
会田誠《たまゆら(戦争画 RETURNS)》 1999年
第1部 私たちの90年 1923-2013
第2部 残像から ― afterimages of tomorrow
2013年4月6日(土)~6月9日(日)
東京都現代美術館 常設展示室1F、3F
http://www.mot-art-museum.jp/collection/