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スカイツリー効果?首都圏東側で再開発続々

東京スカイツリーの登場で観光客が増加、注目を集め出した首都圏の東側エリア。木造住宅密集地域解消を急ぐ気運もあり、再開発計画が続々動き始めています。どんな計画があるのかを見て行きましょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

木密解消なども含め、街が変わる、
東京の重心が再び東側に戻ってくる?

崩壊寸前の空き家

古い街では土地の権利関係が複雑でもあり、空き家になっても取り壊すに取り壊せない状況もあり、問題を複雑化している(クリックで拡大)

首都圏の東側、いわゆる下町エリアには、路地に古い木造住宅が密集、防災上危険とされる地域も少なくありません。長らく、区画整理、再開発などで街作りの必要が言われつつも、実際の進展は牛歩のごとく、ゆっくりしたものでした。しかし、東日本大震災以降、このままでは危ないという認識が共有されたせいでしょうか、ここのところへ来て、あちこちで区画整理、再開発の動きが目に付くようになってきました。

 

隅田川から見たスカイツリー

東京スカイツリーの集客効果は想像以上。観光で訪れ、ここに住んでも良いなと思う人が増えれば変わって行くのかもしれない(クリックで拡大)

もうひとつ、東側に注目が集まるようになった要因として東京スカイツリーがあります。内外から多くの観光客が訪れ、これまであまり知られていなかった東側エリアが注目されるようになっているのです。たとえば、千代田区の秋葉原駅に近い台東区浅草橋から蔵前にかけてのエリアでこのところ、新築マンションの供給が増えており、中には坪(3.3平米)250万円などと都心並みの価格を付けるところもあるほど。

 

関東大震災以前、東京の重心がもっと東側に寄ったものだったことを考えると、それが揺り戻されつつあるということかもしれません。もともと、都心への距離は近く、古い街だけにいろいろな機能は揃っています。防災に配慮した形で整備されれば、今後、大きく発展する要素はあるのかもしれません。ここでは東側エリアで計画されているいくつかの再開発を見て行きましょう。

 

墨田区 曳舟駅周辺
一部は完成、引き続き整備が進む

東武線曳舟駅近く

東武線の曳舟駅を出たところ。再開発で生まれたタワーに商業施設、スカイツリーが見える(クリックで拡大)

スカイツリーのある押上のお隣、曳舟周辺では平成19年前後から一部の再開発が完了、その後も引き続き整備が進められています。ここは東武伊勢崎線、京成線それぞれの曳舟駅があり、区内の交通の要所。戦災で焼け残った地域でもあり、特に京成線のある京島地区は長年、都内でも地震に弱い場所として知られていました。それが両駅間を中心に整備され、スーパー、タワーマンション、交通広場などが作られ、すっかり違う街のように。

 

京成曳舟駅

京成曳舟駅では高架化作業も進行中。これが完了すると駅周辺が大きく変わることに(クリックで拡大)

このエリアは京成曳舟駅を中心に11.2ヘクタールという広いエリアで、まだ、京成線の東側では工事中、今後計画を詰めていく段階という区画も。同時に京成線の押上駅~八広駅間の連続立体交差事業も進められており、交通渋滞の解消も図られる予定となっています。また、駅から少し離れた京島二丁目、三丁目でも住宅事情の改善と住環境の整備のため、住宅市街地総合整備事業が進展しています。

 

荒川区 三河島駅周辺
駅を挟んで南北で再開発計画進行中

三河島再開発エリア

尾竹橋通りから三河島駅を見たところ。左側の囲いが駅南側の再開発エリア。駅のすぐ前ということが分かる(クリックで拡大)

山手線日暮里駅から常磐線で一駅、三河島駅では駅を挟んで南北両方で再開発計画が進行しています。現状では細い路地、古い小さな一戸建ての並ぶエリアもあり、庶民的で物価が安いなどの魅力はあるものの、若いファミリーなどにはいささか寂しい雰囲気のある場所ですが、再開発で生まれ変われば日暮里駅まで歩いていけるほどの立地でもあり、期待できそう。

 

三河島の商店街

下町の魅力は人情と物価の安さ。三河島の商店街もお手頃価格でいろいろな飲食店、惣菜店などが並ぶ(クリックで拡大)

そのうち、南側ではすでに地上34階建てのタワーの建設が始まっており、住宅のほか、商業施設、広場も作られる予定。北側はまだまだこれからというところですが、前述の曳舟で最初の開発で比較的安価だった分譲価格が、続く開発で値上がりしていたことを考えると、再開発物件を選ぶなら早めが吉と言えるかもしれません。

 

葛飾区 新小岩駅、京成立石駅周辺
商業施設も密集する駅前が生まれ変わる

京成立石駅前

京成立石駅前。すでに再開発予定地の一部は建物が撤去され、更地に。駅周辺には商店街、飲食店街が並ぶ(クリックで拡大)

葛飾区では区全域で大小様々な開発が同時に進行しています。そのうち、駅周辺の街作りとしては総武線新小岩駅周辺、京成線京成立石周辺の2カ所があります。いずれも駅周辺には商店街が集まり、繁華で住む人には便利な場所ですが、半面、細い路地に小さな店舗が密集、災害時には消防車が入れそうにない区画も。

 

京成立石の飲食店街

手頃でおいしい味を求めて立石を訪れる人も多い。写真は再開発で無くなる予定のレトロな飲食店街(クリックで拡大)

そのため、いずれの地区でも街作り計画がスタートしたところ。どのように変わっていくかは今後の計画次第ですが、もともと、生活には便利な場所。その猥雑で活気に満ちた雰囲気を大事に、でも安全な街へと言う変化を期待したいところです。

 

ちなみに、駅周辺の街作り以外では大規模工場跡地等を活用した街作りとして新宿六丁目、青戸六・七丁目、防災街作りとして東立石四丁目、四つ木一・二丁目、東四つ木三・四丁目などがあり、葛飾区は全域が今後大きく変わっていきそうです。

江戸川区 小岩駅周辺
区画ごとに街の特色を生かした街作りが

総武線新小岩駅のお隣、江戸川区の小岩駅周辺の4つの地区でも開発計画が検討されています。駅周辺には7つもの商店街が集まり、それぞれが異なる特徴を持っていることもあり、進行状況は地区ごとにばらばら。調整には時間がかかりそうですが、地元の人たちがハッピーになれる計画でなければ成功とは言えません。成果が見えてくる日を楽しみにしたいものです。

 

谷中銀座入口

最近観光地としても人気の谷根千エリア。路地の雰囲気がなんとも魅力的なのだが(クリックで拡大)

これ以外にも台東区では密集住宅市街地整備促進事業として谷中二丁目・三丁目・五丁目地区・根岸三丁目・四丁目・五丁目地区の防災性向上を計画しており、再開発のように一気に変わることはないものの、少しずつ街が変わっていきそう。このエリアは震災、戦災の被害を受けていないため、下町情緒が残り、散歩好きにはお馴染みの場所。風情を残して安全をはかるというのは難しいかもしれませんが、そうした方向が模索されて欲しいと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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