全焼や破損の憂き目にあってきた「景福宮」
ソウル市内に残る五大王宮の中で、最も規模が大きく建築美に優れた宮殿と評価されているのが、鍾路区世宗路にある景福宮です。敷地の面積は12万坪、41万平方メートルを超えています。景福宮は、李氏朝鮮の創始者である李成桂によって、1394年に建造されました。1443年には李朝第4代王の世宗が、ここでハングル文字を創出したと伝わります。
代々の王が政務を司った王宮は、1592年に豊臣秀吉によって始められた文禄・慶長の役や、満洲から後金や清が侵入して、ほとんどの殿閣が焼失してしまいました。
約270年放置された敷地は、19世紀の後半になって、王権の強化を目指す摂政の大院君によって巨額の費用を費やして再建されました。ところが、韓国を併合した日本政府によって、敷地内正面に朝鮮総督府庁舎が建設されたのです。様々な不運に見舞われながらも、2010年8月にはかつての美しい姿を取り戻しました。
広大なエリアの中に、現存する韓国最大の木造建築物である勤政殿、王が日常の政務を執った思政殿、王が臣下と学問を論じた千秋殿が残されています。また、旧1万ウォン札の絵柄に使われた慶会楼が、池に浮かぶような姿で佇んでいます。
隣の国の王宮を眺めていると、複雑に絡む日本の歴史が頭をよぎっていきます。
■景福宮
住所:ソウル市鍾路区世宗路1-1
TEL:02-3700-3904
営業時間:3~5月(9:00~18:00)、6~8月(9:00~18:30)、11~2月(9:00~17:00) ※入場は閉宮の1時間前まで
定休日:毎週火曜日(祝日の場合は開園)
URL:http://www.royalpalace.go.kr/html/main/main.jsp
※データは記事公開時点の情報です