近年の花火の流行は和火、グラデーション、八方咲き
まずは近年の花火流行事情の話から始めましょう。 2003年、NHKの連続ドラマ『こころ』で紹介されて流行したと言っても過言ではない「和火(わび)※」。※日本の花火の種類は大きく分けて総称で和火と洋火に分かれています。分かりやすく言うと、墨火色の発色しない花火が和火で、紅や青と発色するのが洋火です。
あれから各地の花火大会プログラムでは和火を見る機会が多くなりました。
同じくNHKの番組で、2006年放送の『プロフェッショナル』では、野村花火工業さんのグラデーション変化の花火と八方咲き花火が話題になりました。
ここ数年で爆発的に流行し、全国の煙火店さんが進化させ、いろいろな煙火店さんでグラデーション及び八方咲きの花火を見る機会が多くなりました。
このグラデーションですが、発色の異なる薬品を少しづつ配合しながら、花火の星(発光する火薬)の色を変化させるといった、大変手間のかかる花火として有名。少しでも良い花火を魅せたい!っという花火師さんの想いが伝わってくるようです。
さて今年の流行ですが、次にあげる3点です!
- マジック変化
- パステル色
- 色変化
マジック変化の花火
これは写真では説明しづらいのですが、頑張って分かりやすくしてみます。渦巻きのように回りながら開く花火や、色が変化しながら消えていく花火など、文字だけでは限界があるのでまずは右の画像をご覧ください。
完全に滑らかに点火している訳ではありませんが、とても分かりやすく印象に残りますよ。
次はこちら。
花火写真は基本的にバルブ撮影で数秒間をまとめて1枚にします。ですから画像では上記のように花火の光跡が写りますが、肉眼で観覧する時は「点」で開いています。
青色の星から各色に変化しているのはわかりますよね。その色の変化の長さが異なります。実際に開いている時は左から徐々に変化して消えていきます。
これがマジック発光の花火なんです。
他には一度消えてまた発色する花火等も良く見られますよ。こんな花火が今年は昨年以上に見られると思います。
パステル色の花火
パステル色の花火は、昔から静岡県の熱海海上花火大会担当を担当する有名煙火店、イケブンさんの花火で見られていました。噂レベルですが、近年、煙火業界全体に新たな火薬(薬品)が登場。たしかに昔に比べて新しい発色の花火を近年見る事が増えてきました。
もちろん、各煙火店さんでこの薬品を独自に配合して花火星を作っていくのでその発色はさまざまです。この点からも煙火店の特徴が花火に表れるというのも花火観覧の面白さ。
ただ、実際にはパステル系の発光は燃焼が安定しないのか、消え口がなかなか揃わず、10号玉のような大玉で魅せるのはまだまだ難しいようです。
2013年春現在は点滅星等に用いられており、連発で魅せてくれる煙火店が多いです。
今後、このパステル系が安定して使用できるようになれば、もっと見たこともないような花火が観られると思うとワクワクしますね!
とはいえ2012年にも強烈な印象を残したパステル色の花火がありました。斎木煙火本店の「聖礼花 せいれいか」です。
3色のパステル星がなんとも言えない花火!この花火を見る事ができたら本当に幸せになりますよ。2013年もこのパステル系から目が離せないと思います。
色変化の花火
何と言っても昔、僕が夢にまで描いた未来の花火が既に実現している!それは紛れもない虹の花火。その名の通り、虹色に変化しながら開く花火のこと。2012年、この虹色の花火を涙しながら見て感動したのを覚えています。
ただ一言に変化と言ってもその変化は多種多様で、ゆったりと変化していく花火もあれば、一瞬にして高速で変化する花火もあります。
この高速で変化するものは、実際には悪くいうと肉眼では分かりづらいものですが、ただし2色交互に高速で変化する場合は逆に分かりやすくインパクト大!
画像を拡大すると分かると思いますが紅→青と3回 繰り返してから先銀に開いています。
名の知れない小さな祭りの花火打ち上げ等を観覧していると、いろいろ微妙な変化を試している煙火店さんが多いと感じます。今年もこの色変化がどう進化しているか本当に楽しみです。
花火大会へお出かけの際は、マジックのような花火、そしてパステル系の色、最後に色の変化等、良く観察してみてください。もしそんな変化に気が付ければ、花火観覧がますます楽しくなってきますよ。
写真・テキスト 井上真也
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