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一体何がすごい?「シェールガス革命」とは(2ページ目)

アメリカで新エネルギー・シェールガスの掘削が進み、マスコミに頻繁に「シェールガス革命」という言葉が出てくるようになりました。この「革命」、いったい何が革新的なのでしょうか?

執筆者:All About 編集部


気になる他国の動向

シェールガスはアメリカの「独占物」ではなく、他国にも埋蔵があります。例えば、中国。中国国内にも多量のシェールガスが存在しているといわれていて、今後採掘が盛んになる可能性があります。

中国とアメリカの最大の違いは、当然その人件費。中国が本格的に生産を始めると、アメリカよりもさらに安価で提供できるようになるのは間違いありません。そうなると既存のガスも含め、世界のガス市場はさらに低価格化が進むでしょう。

しかし、物事にはメリットがあれば、当然デメリットもあります。シェールガスによって最も苦境に追い込まれると思われるのは、天然ガスなど既存のガス業界。シェールガスによってガス価格が下落すれば、それによって既存のガス業界への打撃は容易に想像できます。

価格低下だけならともかく、なかには仕事を失ってしまう既存のガス関連企業もこれから出てくるでしょう。

環境汚染問題も

また、シェールガス採掘による環境への悪影響がすでに指摘されています。

シェールガス採掘は、「水圧破砕法」という手法が使われています。これは化学物質を含む大量の水を地中に流し込み、水圧によって地層に割れ目を作ってガスを採掘できるようにする方法で、この化学物質によって採掘地域周辺の地下水が汚染されると専門家が指摘しています。さらに恐ろしいことに、水圧破砕法を使用することによって、地震が起こりやすくなるという指摘も。

水圧破砕法と地震との関係は、まだきちんと証明されていませんが、一部のシェールガス採掘をしている地域で地震の数が突然増えているという観測データも出ており、本当だとすれば、かなりリスクが高いといえるでしょう。

正直、「革命」かどうかは現在判然とせず

最後に、マスコミが最近頻繁に使っている「シェールガス革命」は、本当にその言葉にふさわしい革命をもたらすのでしょうか?

「シェールガスは今後世界のエネルギーを数百年間賄う」という見通しもありますが、これは楽観的すぎます。「せいぜい数十年間」という予測もあり、数百年もつというのは現時点では証明しようがありません。また「石炭や石油の実用化に匹敵するエネルギー革命となる」という見方もありますが、これもまた現時点ではなんともいえません。

なんとも判然としないことがまだ多くありますが、日本への影響はポジティブになりそうなので、今後の採掘拡大に期待しましょう。
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