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一体何がすごい?「シェールガス革命」とは

アメリカで新エネルギー・シェールガスの掘削が進み、マスコミに頻繁に「シェールガス革命」という言葉が出てくるようになりました。この「革命」、いったい何が革新的なのでしょうか?

執筆者:All About 編集部

世界が注目する新エネルギー

日々変わりゆく世界に、また新しい主役がやってきました。その名はシェールガス。石油や従来の天然ガスに匹敵するかもしれない将来有望なエネルギーとして、ここ数年世界的に注目されています。

そもそも、シェールガスとはどのようなエネルギーなのでしょうか? シェールガスは文字通りガスの一種であり、火力発電をはじめ、いろいろな用途に利用が可能なエネルギーです。このガスは、地表から2000~3000メートルもの深い場所にある頁岩(けつがん)層という層に多量に存在するといわれ、頁岩層は別名「シェール層」ともいわれることから「シェールガス」と名付けられました。主成分はメタンとされています。

シェールガスの存在自体は1990年代など、かなり以前から知られていたのですが、ここ数年で地下からの採掘技術が急速に進化したため、本格的な採掘が始まりました。特に積極的なのがアメリカ。アメリカは広い国土のあちらこちらにシェールガスのガス田が存在していて、各地で本格的な採掘がすでに行われています。

実際に起こっている「革命」とは?

シェールガスの採掘が本格的に始まって、世にいう「革命」がアメリカで本当に起こっているのでしょうか?

現在のところ、最大の影響はガス価格の下落です。これまで天然ガスなどに依存していたガス需要ですが、これからは低コストのシェールガスが大量に供給される見通しで、アメリカのガス価格は急落しています。

もう1つの「革命的」予測としては、シェールガスによってアメリカの経常収支が黒字化するのではないかといわれていること。アメリカは長年の経常赤字国ですが、シェールガスを大量に生産して輸出することができれば、経常収支が黒字になるという予測が出ています。長年赤字だったアメリカの経常収支が黒字になれば、それだけでも「革命」と呼ぶにふさわしいかもしれません。

日本にはどう影響するのか

日本へのポジティブな影響は、まずガス輸入価格が下げられること。日本は2年前の震災・原発事故以来、原発をほぼ全て停止しています。そのため、発電の多くを火力発電に依存し、その燃料輸入で莫大な費用を払っている状態です。その費用によって、日本の貿易収支も黒字から赤字に転落。

日本がシェールガスを他の燃料よりも低コストで輸入することができれば、貿易赤字も多少は改善されます。ここ2年で燃料費高騰のために上がっていた電気代も多少は値下げされるでしょう。

ちなみに東京電力は、すでに2017年からシェールガスをアメリカから輸入すると発表しています。それによるコスト削減効果は約15%とのこと。なぜ2017年からなのかというと、現在でも既存LNG(液化天然ガス)などの契約は残っており、またその他の理由もあり、すぐにシフトができないとのこと。

もう1つ日本へのポジティブな影響としては、シェールガス採掘のため、日本の多くの技術が必要とされることです。2000メートル以上の地中深くに通せるパイプや、輸出するために必要なシェールガスの液化技術など、シェールガスビジネスにおいて日本企業に求められる技術は数多くあります。

アメリカだけではなく世界的にシェールガスの採掘が盛んになれば、技術を持つ日本企業に大きなビジネスチャンスとなります。
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