太極拳とは何か? 基礎知識を解説

太極拳の基礎知識

太極拳の風格は、空を行く雲や流れる水に例えられます ~行雲流水~

太極拳は中国発祥の伝統護身術です。もともと身を守るために誕生した太極拳ですが、東洋哲学と養生学を深く取り入れた鍛練方法は、徐々に心身の健康という面で大きな発展を遂げ、現代では世界中に愛好者を持つ有名な健康法として知られています。

このように、誰でも一度は聞いたことのある太極拳。でもそのイメージはとても抽象的なものです。それは太極拳の風格が水や雲の動きに例えられるように、自然の運動規則を体現する、ということに由来します。

では太極拳でいう自然とは何なのでしょう?

まずは、私たちが持って生まれた心と体です。つまり、「自分の今の状態が、そのまま自然のものなんだ」、と考えるところから太極拳が始まります。

そして次に、自分が包まれている環境を考えます。私たちは自分を含めた環境(=大自然)と共に変化を繰り返しながら生きていますので、この自分と大自然の運動規則を調和していくことが、太極拳の目的なのです。
 

太極拳で得られる本来の自分

心と体を緩めて自分を見つめる

心と体を緩めて自分を見つめる

生まれつきの体質には個人差があります。しかし生後において、自分に合った食習慣・運動・考え方を実践することで目覚める潜在能力もあります。

「私は○○な体質だから・・・」と決めつけてしまっては、眠っている潜在能力も目覚めるチャンスを失ってしまいます。

体だけでなく、心も柔らかくしておくことが太極拳の習得にあたってとても大切なことです。

また、心を緩めて自分を見つめることは、初心者にも上級者にも必要なことです。太極拳は「特殊なトレーニングを行って、理想の自分を作り上げる!」というアプローチではなく、あくまで自分本来の姿に目覚めながら、自然と共に生きることを実践していく、とてもナチュラルで美しい生き方へのアプローチなのです。
 

どうしてゆっくり動くの?

太極拳といえば「ゆっくり動く」、というのが一番多く持たれているイメージではないでしょうか。では、どうしてゆっくり動くのか?それは意識してゆっくり動くことで心が静まりやすくなり、比較的短時間で脳がリラックスを伴う集中状態に入ります。更に脳からゆっくりと体の隅々まで神経を行き渡らせることによって、繊細な筋肉や感覚を開発していくことができるからなのです。
 

円運動の意味

これはあまり知られていないことかもしれませんが、太極拳はその殆どを円運動で行います。

まず、円の図形を浮かべてみてください。角がありませんので、始まりと終わりがありません。とても自由な形です。どこからでも始められますし、どこからでも終われます。つまり、いつでも自由自在に変化できる私たちの体と心を表しています。

ただ、人間の体は複雑な構造をしていますので、例えば右手を使って宙に円を描くだけでは、全身を動かすことはできません。

これは、私たちの体が立体であるからです。円は平面ですが、立体になると球になります。そして体の中には、たくさんの球状の関節があります。

頭で思い描く自然な円運動のイメージを用いて、筋肉を使いながら、全身で空中に無数の円を描いていきます。こうして、どこにも無理がなく、どんな変化にもいつでも対応できる、しなやかな心と体を作り上げていくのです。
 

太極拳の特徴

太極拳の特徴をわかりやすく表した、3つの表現があります。
 
  1. 「太極拳は、心身の労働ではなく運動である」
  2. 「太極拳は、空気中の遊泳である」
  3. 「太極拳は、自己按摩 (セルフマッサージ)である」

特に、自己按摩 (セルフマッサージ)という特徴は、忙しい現代人にとって、是非とも身に付けたい技術の一つです。

専門用語になりますが、以意行気(意識を使って気を巡らす)という、イメージトレーニング的なアプローチを主体としますので、椅子に座った状態でも練習を行うことができます。
 

太極拳が求める生命の自然美

太極拳が求めるのは生命の自然美

太極拳が求めるのは生命の自然美

時代が変わっても変わらないものがあります。私たちの心や体にも、同じものが流れています。

太陽と月が交代で空を回って世界を豊かにしているように、年を重ねるごとに経験を積み、ますます人間としての魅力を増していくことのできる太極拳。

内面を磨き上げ、心身に大きな負荷を与えず、自然と一体となることを目指していくその練習方法は、一生現役、引退のない生命の自然美への追求です。

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