優れた道具特有の、研ぎ澄まされた性能
先ほどゴルフのことを「兄貴分」と書きましたが、文字通り通りゴルフをギュッとサイズダウンしたのがポロ、といっても良いほど、内外装の印象やしっかりとしたその乗り心地が似ています。シンプルと取るか味気ないと取るかは別として、機能が分かりやすく配置されている内装のデザイン。もちろん安っぽさはありません。標準装備となるCDプレーヤー付きオーディオはAUX端子付きなのでiPhone等の音楽も聴けます
ではup!はどうかというと、この2台の兄弟と少し離れて、5歳くらい下のいとこという感じでしょうか。そもそも初代ゴルフのスリーサイズは全長3725mm×全幅1610mm×全高1410mmですから、現行のポロより小さいんです。兄弟揃ってすくすく育ったわけです。
大きくなっただけでなく、この兄弟は実に立派に、真面目な青少年に育ちました。特に高速道路に出るとその品行方正ぶりな走りの良さが際立ちます。ポロで言えば「おいおい、トヨタのヴィッツや日産マーチとほとんど同じサイズ&エンジンで、全然違うじゃん」と。
部品の一つひとつが国産車とはまるで別物を使っている感じが、走るときっとわかります。up!ですら国産車とは違いがはっきりしていますから、ポロはもう言わずもがなです。
シート周りもシンプル。ま、よりゴージャス感を求めるなら兄貴分のゴルフをどうぞ、ということでしょう。とはいえ内装の質感や座り心地はやはり国産車の同クラスとは大きく異なります
ちょうどポロのチーフデザイナーであるワルター・デ・シルヴァが「無駄な装飾を排したシンプルなフロントフェイス」と語っていますが、優れた道具に特有の、無駄をそぎ落とし「走る」という性能を突き詰めた結果の極太感といいましょうか。「車が走るってこうでしょ?」という哲学すら感じてしまうほどです。
往年のイタリア車やフランス車のこのクラス(最近はそれこそポロの乗り心地に似てきましたが)とは異なる、ましてや「お手頃価格で低燃費」という思想の国産車とは全然違う極太感。さらに、そこから乗る人すべてに伝えられる安心感は「ホントにこのサイズ?」という驚嘆とともに感じられるはずです。
まぁ新車時約120万円からの国産コンパクトカーと新車時203万円(1.4トレンドライン)のポロと、そうやって比べるほうが意地が悪いのかも知れませんが、逆に言えば燃費の数値だけで比べるのも意地が悪いのではないでしょうか。
原稿執筆時点での修復歴なしでの最安値は2009年式/4.7万kmの1.4トレンドライン。1.2L+スーパーチャージャーモデルは115万円(2010年式/4.5万km)から見つかります。up!の新車よりはもちろん安く、軽自動車や国産コンパクトカーと価格帯ではガチンコ。
国産車は誰もが手軽に手を出せる安さと、高い燃費性能が魅力で、一方のポロは「走る」ことと、横滑り防止装置のESPを全車標準装備などの安全性能がウリ。思想が異なるといえばそれまでですが、だとしたら一度くらいはその思想を味わってみてはいかがでしょうか。
このように、しっかり調べてみればお買い得な車種は意外とあるものです。あなたも一度、探してみてはいかがでしょう。
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