具体的な行動を挙げる
こうしたすれ違いを防ぐためには、「問題集を1日○ページやる」とか、「今日、学校で習ったことを夕食の時に話す」といった、より具体的で簡単な行動を促してみることです。「部屋をきれいにする」と言うのではなく、「ほこりや小さいゴミが落ちているから、掃除機をかけようか」「物が散らかっているから、片づけようか」など、より具体的に言うことで、「何をどうすればよいのか」が言われた側にはっきりと伝わります。
目標を「具体的な行動」と考える
「今度のテストで100番以内を目指す」という目標を立てたとしましょう。この目標、確かに具体的です。しかし、これは「行動」ではありません。100番以内をとる行動をとってくださいと言われても、無理ですよね。そう、これは行動科学で言うところの「行動」ではありません。では、この場合、どう子どもに働きかければよいのでしょうか。「100番以内をとる」ためには、各教科で何点くらいとらなければいけないかという現実問題があります。その点数をとるためには、どの教科でどれくらいの点をとらなければならないかが見てくるはずです。得意な教科で点数を稼ぐのか、苦手な教科で少しでも点を取れるようにするのか。そのためには、過去のテストの成績表や答案用紙を持ってきて、具体的に調べてみる必要があります。
ここまで突き詰めて、初めて「数学は計算問題がとれてない」とか、「国語は漢字の問題でもう少し点数がとれる」といった、具体的な問題点が見えてきます。こうすることで、「毎日、計算問題を○問解く」「毎日、漢字を○個覚える」といった、具体的な行動目標ができるのです。
できたらほめる
このように、子どもが具体的な行動目標を立てられるようにサポートするのは、親の重要な役割の一つです。さらに、もう一つ親ができること、いえ、むしろ親がすべきことがあります。それは「できたらほめる」ということです。「ほめて子どもを伸ばす」というのは、育児書・教育書には必ずといってよいほど書かれていますが、それがなかなかできないのが難点ですね。しかし、これまで紹介してきたように、具体的な行動目標を立てるところまでできれば、あとは、その行動ができたときにほめてあげるだけですから、それほど難しいことではありません。
・朝早くおきられるようになったね
・数学の計算問題で計算ミスが減ったね
・最近、学校であったことを話すようになったね
日常のささいな変化で構いません。そこを「ほめる」ことで、子どもにちょっとした変化が生まれ、いずれ良い習慣へとつながっていきます。千里の道も一歩からと言います。まず、子どもの意識や行動の変化を促すために、親自身が「変わる」という意識を大切にしましょう。