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カスタマイズ(DIY)住宅が普及する理由とは?(2ページ目)

賃貸住宅を中心として、今「カスタマイズ」というキーワードが注目されています。賃貸住宅であっても、内装や仕様を自分の好みに変えられる「カスタマイズ賃貸」や「DIY賃貸」と呼ばれるものが人気を集めているからです。

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

最新住宅キーワードガイド


民間に加えUR賃貸でもカスタマイズの流れ

大手のレオパレス21がカスタマイズを展開しているほか、住宅情報サイトのSUUMOでも「賃貸×カスタマイズ|のサイトを開設するなど、カスタマイズ賃貸は広がりを見せていますが、民間の賃貸住宅だけでありません。
タイル張り

好みのタイルをキッチンに貼ってみる

全国に約76万戸のUR賃貸住宅を所有するUR都市機構も平成23年度から「DIY賃貸」の募集を開始しました。特定の物件を対象に、床や壁の張り替えや塗り替え、棚の取り付けなどをDIYできるとしています。契約後3ヶ月間はプランニングと施工期間として家賃は無料(共益費はかかる)で、その後1年以上の入居が条件となります。首都圏を中心としていたDIY賃貸の募集を、今では全国に広げています。また、「多摩ニュータウン南大沢学園二番街」(東京都八王子市)では、実際にDIYで壁の色などを替えたモデルルームをオープンさせました。
モデルルーム

モデルルーム(キッチン)では、白いタイル壁をモザイクタイルに、フローリングの床を塩ビタイルにDIYで張り替えている


分譲マンションにもカスタマイズの兆し

賃貸住宅よりもカスタマイズしやすい売買物件については、以前から中古住宅のリノベーション(機能向上を伴うフルリフォーム)が話題になっていました。新築分譲マンションでも、メニュープランやセレクトプランといった、内装の仕様や一部の間取りの変更を可能とする手法が一般化していましたが、住友不動産では一部の物件で、キッチンや浴室などの水まわりを含む大幅な間取りの変更などを可能する「カスタムオーダーマンション」の供給を始めました。また、コスモスイニシアでは、「余白のある住宅」として、住み手がカスタマイズすることで完成する室内のモデルルームを、販売中のリノベーションマンション内に設置しています。このように、「カスタマイズ」の流れは、住宅全般において普及しつつあるといえそうです。

広がるカスタマイズにトラブル防止の手立てを

住み替え需要の高い20代から30代前半の若年層は、旧来型の住宅スゴロクのイメージを持っておらず、中古でもよい、快適ならば賃貸のままでもよいという考え方をする人が多くなっています。一方で、自分らしさのこだわりは強い傾向にあり、こうしたユーザーニーズの変化から、今後もカスタマイズは注目されるキーワードであるでしょう。

ただし、カスタマイズを前提とした契約のあり方やトラブル防止のための対策など、行政側の指針については後手に回っています。カスタマイズした部分の原状回復の義務は免れても、通常の原状回復は要求されることから、賃貸借契約時にはカスタマイズの範囲と費用負担などを細部まで確認する必要があるでしょう。そのために、カスタマイズ賃貸を仲介する不動産会社のサポートも重要になってきます。ユーザーニーズの変化に対して、適切な環境整備が望まれるところです。


写真提供/UR都市機構(多摩ニュータウン南大沢学園二番街に開設した「DIY賃貸」モデルルーム)※モデルルームは現在入居者募集中なので、場合によっては内覧できない場合がある。

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