民間に加えUR賃貸でもカスタマイズの流れ
大手のレオパレス21がカスタマイズを展開しているほか、住宅情報サイトのSUUMOでも「賃貸×カスタマイズ|のサイトを開設するなど、カスタマイズ賃貸は広がりを見せていますが、民間の賃貸住宅だけでありません。好みのタイルをキッチンに貼ってみる
モデルルーム(キッチン)では、白いタイル壁をモザイクタイルに、フローリングの床を塩ビタイルにDIYで張り替えている
分譲マンションにもカスタマイズの兆し
賃貸住宅よりもカスタマイズしやすい売買物件については、以前から中古住宅のリノベーション(機能向上を伴うフルリフォーム)が話題になっていました。新築分譲マンションでも、メニュープランやセレクトプランといった、内装の仕様や一部の間取りの変更を可能とする手法が一般化していましたが、住友不動産では一部の物件で、キッチンや浴室などの水まわりを含む大幅な間取りの変更などを可能する「カスタムオーダーマンション」の供給を始めました。また、コスモスイニシアでは、「余白のある住宅」として、住み手がカスタマイズすることで完成する室内のモデルルームを、販売中のリノベーションマンション内に設置しています。このように、「カスタマイズ」の流れは、住宅全般において普及しつつあるといえそうです。広がるカスタマイズにトラブル防止の手立てを
住み替え需要の高い20代から30代前半の若年層は、旧来型の住宅スゴロクのイメージを持っておらず、中古でもよい、快適ならば賃貸のままでもよいという考え方をする人が多くなっています。一方で、自分らしさのこだわりは強い傾向にあり、こうしたユーザーニーズの変化から、今後もカスタマイズは注目されるキーワードであるでしょう。ただし、カスタマイズを前提とした契約のあり方やトラブル防止のための対策など、行政側の指針については後手に回っています。カスタマイズした部分の原状回復の義務は免れても、通常の原状回復は要求されることから、賃貸借契約時にはカスタマイズの範囲と費用負担などを細部まで確認する必要があるでしょう。そのために、カスタマイズ賃貸を仲介する不動産会社のサポートも重要になってきます。ユーザーニーズの変化に対して、適切な環境整備が望まれるところです。
写真提供/UR都市機構(多摩ニュータウン南大沢学園二番街に開設した「DIY賃貸」モデルルーム)※モデルルームは現在入居者募集中なので、場合によっては内覧できない場合がある。