固定費の保険料はなるべく抑えよう
住居費や保険料などの毎月決まって出ていく固定費、そして水道・光熱費、食費、通信費などの出て行くのは決まっているけれど金額は変わる準固定費を減らすことは、家計費の見直しとやりくりの基本です。中でも、生命保険を見直して保険料を安くできれば、こんなラクな節約はありません。水道・光熱費や食費の節約のようなガマンと努力は不要だからです。それに、生命保険は20年以上の長い付き合いになるので、将来の家計費の節約にもつながります。
では、収入減時代に限らず、いつでも使える保険の見直し方を、具体的な事例を使ってみていきましょう。
【事例】会社員Aさん・33歳
・共働きの妻と3歳になる子どもの3人家族、賃貸住まい
・3年前の30歳のとき、定期付終身保険に加入。死亡保険金額は3000万円(下記1から4の合計)、医療保障は入院日額5000円。その内訳は次の通りです。
- 終身保険 100万円
- 定期保険特約 1000万円
- 3大疾病の特約 500万円
- 身体障害の特約 1400万円
- 医療保障の特約 入院1日5000円他
2から5の特約は15年更新型で、保険料払込満了は60歳。保険料は月約1万4000円です。
Aさんは、今後の収入の伸びは期待できないこと、妻が働けなくなる可能性もあることから、保険料を可能なら減らしたいと思っています。
Aさんの家庭の状況を考えると、死亡保険金の3000万円は妥当です。医療保障の入院1日5000円はやや少ないものの許容範囲です。保障額には問題はないですが、この保険には気になる点が2つあります。
【1】45歳の更新時に同じ保障で更新すると保険料は2倍以上になる
【2】医療保障が一生涯続かない
さて、この保険の気になる点を解消し、保険料を安くするにはどうすればいいでしょうか。具体的な見直し方を確認していきましょう。
必要な保障をカバーして保険料を安くするには……
まず、死亡保障額は現状の3000万円をキープします。保障期間は、子どもが独立していると思われる55歳までとします。保険の種類は、定期保険か収入保障保険がおすすめです。この2つの保険は、基本的に死亡・高度障害の保障しかなく、Aさんが加入している保険のように、3大疾病(ガン・急性心筋梗塞・脳卒中)や身体障害状態になったときに一時金が受け取れる保障はありません。また、終身保険ではないので、少額であっても、死亡保障が一生涯続くわけではありません。が、保険料を安くするには、保障は欲張らずシンプルでいいと割り切ることが必要です。
3000万円・55歳まで・33歳男性の定期保険の保険料は、ネット定期など割安な保険を探せば月6000円くらいです。収入保障保険なら、月15万円×55歳までで月3500円くらいです。
次に、医療保障は一生涯あった方が安心なので、終身タイプの医療保険を利用します。入院と手術、先進医療のシンプルな保障の医療保険を選びます。Aさんの場合で月々の保険料を調べてみると、入院日額5000円で終身払いは1500円くらい、有期払い(60歳まで)で2500円くらいです。入院日額1万円で終身払いは3000円くらい、有期払い(60歳まで)で5000円くらいです。
死亡保障と医療保障の保険料を合計すると、次のようになります。
- 定期保険3000万円+入院日額1万円(有期払い)=1万1000円弱
- 定期保険3000万円+入院日額1万円(終身払い)=9000円くらい
- 収入保障保険15万円×55歳+入院日額1万円(有期払い)=8500円くらい
- 収入保障保険15万円×55歳+入院日額1万円(終身払い)=6500円くらい
最も保険料の高い「1」のプランは今より安い保険料で、医療保障の入院日額は倍、保険料の払込は定期保険は55歳、医療保険は60歳までで終わります。最も安い「4」のプランなら、医療保険の保険料は一生涯にわたって払う必要がありますが、今の半分以下ですみます。医療保険を入院日額5000円にすれば、もっと保険料を安くできます。
このように、必要な保障だけをシンプルな保険で用意すれば、保険料は安くすることができます。また、更新型の保険を使わないので、途中で保険料が上がることはなく、今後の見直しは基本的に必要ありません。
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