円安でトヨタ自動車は儲かるって、本当なんでしょうか?
円安効果でどれだけ儲かるか?
ところが資料をよく見ると、この業績予想、1月以降の為替レートをドル84円、ユーロ110円と仮定しています。もし現状の為替レートであるドル94円、ユーロ125円が、第4四半期における平均為替レートとなれば、どれだけの増益要因になるのでしょうか?
円安による増益要因1~日本生産・海外販売車について~
円安による増益要因は、大きく2つに分けられます。A.日本で生産して、海外に販売する場合に、輸出売価が上昇するケース
B.海外において生産・販売する場合に、売価・原価・粗利ともに増加するケース
(本当は外貨建て債権・債務に関して発生する為替差損益もありますが、今回は無視します。)
まずAについて、考えてみましょう。第4四半期において、ドル圏での販売計画が143万台、ユーロ圏が22万台です。このうち30%が日本国内で生産したものとします。(第1四半期から第3四半期までの生産・販売実績より筆者が試算。)日本国内での生産コストは変わりませんが、輸出単価は円安により上昇します。
会社の想定レートとの差額を試算すると約1430億円の増益要因となります。
円安による増益要因2 ~海外生産・海外販売車について~
次はBについて、考えてみましょう。残りの70%は、海外生産・海外販売です。この場合、円安により、販売単価も製造原価も両方アップします。結果的に差引の利益部分だけ、増益となります。日本生産・海外販売に比べると、増益インパクトは小さくなります。会社の想定レートとの差額を試算すると約160億円の増益要因になります。