海苔と言えば、アマノリ
海苔は、食用の藻類のことですがコンブやワカメが褐色藻なのに対して、紅藻、緑藻(アオサやカワノリ)、藍藻(スイゼンジノリ)などを含む苔状の海藻の総称や、加工食品をさします。さらに狭義には紅藻のアマノリ属をさし、特にアサクサノリは養殖海苔の種類としては有名で、他にもスサビノリなどもあります。 これらはほとんど見分けがつかず、アサクサノリは全国的に少なくなっていて、養殖はスサビノリが多いようです。
*カタカナ表記のアサクサノリは、生物分類学的な名称です。
注目される海苔の糖質やアミノ酸
近年、生海苔も出回るようになりました。香り高く、歯ごたえもあり、生ならではのおいしさが楽しめます。
海苔は、炭水化物(糖質+食物繊維)が多く含まれ、また植物性食品ですがたんぱく質が豊富なことが特徴です。近年は、特にこのたんぱく質や炭水化物の機能性が注目されています。
海面に浮いたり沈んだりしながら生育している海苔は、浮いている時には紫外線や乾燥に耐える必要がありますが、それらに対しての防御機能の役割を果たしているのがポルフィランとマイコスポリン様アミノ酸(MAA)。
ポルフィランは、海苔にのみ含まれている硫酸多糖類の一種。細胞壁を構成する物質で、優れた保水性があります。海苔に含まれる糖質の約80%、海苔全体の約30%をしめています。ポルフィランには、免疫を活性化しアレルギー反応を抑制する作用や、整腸作用、また血清コレステロール低下作用などがあるという報告があります。
マイコスポリン様アミノ酸(MAA)は、たんぱく質を構成するアミノ酸の一種で、有害な紫外線を吸収する働きがあると考えられています。また水産総合センターは「人の皮膚などに存在しコラーゲンなどを合成する繊維芽細胞の増殖を促進する活性を有することを見出し」、特許を取得しています。
他にも熊本県水産研究センターは色落ちノリの中に、1.水溶性食物繊維のグリセロールガラクトシド(以下GG)を発見し、ビフィズス菌などを増やす、2.消化酵素により消化されない、3.腸管より吸収されないこと(ラットによる実験)、というプレバイオティクスとして必要な性質を持っていることを明らかにしました。
生産地では、海水の栄養塩の低下による「色落ち海苔」という規格外品が出ると廃棄せざるを得ないのですが、その活用として、こうした特性を生かした健康食品、化粧品、医薬品、家畜の飼料など、幅広い応用が期待されています。
こうした成分の作用は、単独の成分を抽出したものや、動物実験レベルのものもあり、海苔としてどれだけ食べれば効くのかは明確ではありませんので、薬のような効果を期待して、食べ過ぎたり、偏った食べ方をしないようにしてください。
ビタミン、ミネラルも豊富
他にも、抗酸化作用のあるβ-カロテンやビタミンC、ビタミンEに、糖質や脂質の代謝に必要なビタミンB群などのビタミン、カルシウムやカリウム、マグネシウム、鉄分、海藻ですからヨウ素も、青魚などに多く含まれ血行をよくするEPA(イコサペンタエン酸)なども含み、成長期の子どもからお年寄りまで積極的にとりたい食材です。また、たんぱく質も豊富で、こんぶやわかめはたんぱく質の含有量は10%程度なのに対し、アマノリは40%程度も含んでいます。特にあまのりの干しのりはグルタミン酸やアスパラギン酸、アラニンなどの旨味成分が含まれています。
岩のり、川のりなど種類により、栄養素の含有量は異なります。あおのりや味付けのりなどは、ナトリウムが多いので、塩分が気になる人には、表をご参考になさってください。