家事/エコ家事の方法

「シェア」~エゴからエコへ、専有から共有へ

「シェア」の気運が高まっています。2013年、この流れは暮らし領域でどう表現されていくか……? ガイドの予見を記しました。

藤原 千秋

執筆者:藤原 千秋

家事・掃除・子育てガイド

 「シェア」という欲

半分こ

半分こ

「シェア」の気運が高まっています。日常的な光景の中に、少しずつこの文字が混じり始めたことに、すでに気づいている方も少なくないかもしれません。

例えば、街の時間制の駐車場には「シェアカー」が常駐し始めています。駅前無断駐輪問題など騒がれる一方、街ぐるみでの「シェアサイクル・サービス」に乗り出す地域も出てきました。

都心部で廃校舎を利用した「シェアオフィス」はそう珍しい存在ではなくなっていますし、個人のハンドメイド人気に後押しされた「シェアショップ」とも言うべきミニマムな店舗空間は、現実でも、また電脳空間にも広がりを見せています。

「ルームシェア」「シェアハウス」といった住空間シェアは、ここ数年、とみに急激な対応物件数の伸びを見せています。「シェア」は「風変わりな特別の人」が選ぶ住まい方ではなく、当たり前に新居の検討のさい俎上に上がる存在になり始めているということでしょう。

また着物などでは以前からあったものですが、最近ではそれほどまで高価ではない「パーティードレス」などのレンタルサービスも活発になってきました。購入しようと思えばできないこともないけれど、敢えて「買わない(専有しない)」ことを選ぶ顧客ニーズが厳然としてあることのあらわれでしょう。

「ドレス」の他のシェアの客体もそうですが、限られた機会にしか使用しないモノ・自分の身を過剰に限定せしめるモノに対して、人々はだんだんと、もう特別に「専有したい」という欲求を持たなくなってきている、むしろ「専有したくない」という欲求を持ち出したということのように思えます。


自由と「シェア」

私らしい色合い、私らしい美意識

私らしい色合い、私らしい美意識

もちろん、ある「モノ」を自分が選び、身に纏ったり身の回りに持つことは「自分らしさの表出」であり「表現」の一種であると捉えている方もまだまだ多いと思います。そういった自分らしさの表出には「自由に選べること」が不可欠であり、そういった意味で言えば「シェア」は自分らしいモノを身の回りに置ける営為ではありません。

「シェアハウス」の建物外観は、自分が建てるとしたら絶対に選ばなかった仕上げ方法でなされた色合いかもしれませんし、「シェアカー」の車種は大好きなあのクルマには似ても似つかないものかもしれません。「シェアサイクル」用の自転車は、使いたいとも思わなかった電動自転車かも知れません。「選べるとしたら、自分では絶対に選ばなかった」何かを「シェア」では宛てがわれるかも知れない。「専有しない」ということには、そういう側面がなきにしもあらずです。

それは言い換えれば、「自由」を失った状態と言えないことも無いでしょう。選べないのですから。でも、もう一段階遡れば、明らかなことは「選べないこと」をそれ以前に、前もって、「選んでいる」。「シェア」を「選ぶ」ということの結果でしかないとも言えるわけです。


「シェア」という動き

分け合いましょう

分け合いましょう

選べないこと、不自由であることを敢えて選ぶ。専有して自由気ままに在ることを敢えて選ばず、他人・他者とモノを不自由に「シェア」する。なぜ、好き好んでそうしたい人がいるのか、出てきたのか、増えてきたのか? その事象の理由は様々な角度から挙げることが出来るとは思いますが、ひとつとして「私たちは既に、モノに飽いている」ということがあるのではないかなあ、というのがガイドの私見です。

コダワリの、私らしい、私にしか持てない、特別の、誂えた、珍しい、他に持っている人のいない、自慢の「モノ」。それが悪いものであったり、そうすることが悪いということではないのですが、何かもう「お腹いっぱい」感がある……胃にもたれている。そもそも「モノを持つ」ということにはお金がかかるということの他に、「持ち続ける」パワーが要ります。良くも悪くも「維持費(金・時間・手間)」がかかるのです。

そういったことに人生の時間やパワーを費やさないことをこそ、敢えて「選ぶ」。持たず、分かち合い、共有する。「私が!私が!」のエゴから、「皆へ」の方向に切り替え、エコロジーとエコノミーを実現する。抱え込み動かない(動かさない)ことから、手放し、分け合うというアクションを起こす。動く。


暮らしから、住まい方から、こういった「シェア」の時流はどんどんその流れの速さを増して行くのではないか? 2013年は、その幕開けの年となるのではないか? 私は、そんなふうに思っているのです。
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