資産クラス別、国別で過去の株式パフォーマンス検証
JPモルガンアセットマネジメント社のホームページには多くの投資情報が無料でアップロードされています。その中の一つにGuide to the Marketsという3ヶ月毎にアップデートとされる世界の経済・各資産クラスを詳細かつコンパクトにまとめているレポートがあり、下図はそこからの引用です。まずグローバル資産を、米国株式、アジア株、新興国債券、米国債券、ハイ・イールド債(利率の高い、つまり低格付け会社の社債=ジャンク債とも言う)、コモディティー(商品)、グローバルリート(世界不動産)の各クラスに分け、2003年以降の年次リターンを一目でまとめたのが上の表です。世界の全ての資産(株、債券、商品、土地)を地域別(先進国か新興国か)に分けてあるので、ほぼこれで世界中の主要資産をカバーしたと考えて良いでしょう。それぞれのパフォーマンスはMSCI地域別指数など、各資産クラスの代表的な国際指標で測られています。
ここでは先進国株式を米国株のみ、先進国債券を米国債のみとし、また新興国株式はアジアのみに絞っています。本来なら先進国には少なくともG7国全てを、また新興国もアジア以外、トルコ、ブラジル等も入れる必要ありますが、簡潔に米国、アジアのみとしても、結局それらが最大の時価総額を占めるので、年間パフォーマンスはそれほど変わりません。
ご覧のように、あらゆる資産の中で圧倒的に良いパフォーマンスをあげてきたのはアジア株式です。世界で最も人口が多く、最も強く経済成長している地域だからです。
バランス型ポートフォリオは10年間平均+12.9%!
次にバランス型という項目がありますが、これはJPモルガンアセットマネジメント社が独自に配分したポートフォリオで、内訳は、米国株10%、アジア株20%、新興国債券20%、米国債券15%、ハイイールド債15%、商品10%、グローバルリート10%という配分です。例えばアジア株式は殆どの年でトップですが、08年、11年は最下位とダメージの大きい年もありました。そしてそれぞれの資産クラスは互いに連動性の低いものもあるため、このように分散投資すればリスクが軽減されるというアイデアです。上のバランス型の各年のリターンは、毎年末に当初の比率配分に資産を戻すようリバランスした場合の成績となっています。結果としてバランス型ポートフォリオは、10年間平均で年+12.9%のリターンをあげました。明らかにマイナスとなったのは08年の-27.3%一度だけであり、その年のアジア株の-52.2%に比べて大幅にましです。つまりリスクを十分抑えた上で、毎年平均+12.9%も期待できるのですから、日本に居ててこれほど良い投資案件はないように思います。ところが日本人投資家は平均的に投資金の3/4を日本株・日本債券のみに投資し、グローバル資産には1/4ほどしか割り振りません。今や日本のGDPは世界の6%に過ぎないのに、75%以上を国内のみに投資しているのです。このグローバルバランス型に2003年より100投資すると、2012年末に295となった計算です。
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