一戸建ての売却/一戸建ての売却の基礎知識

一戸建て売却でまず確認すること(2ページ目)

一戸建てを売却する時に、まずやらなくてはいけないことは何でしょうか。それは資料の有無や中身を確認しておくことです。建物や土地の状態で知っておくべき基本について説明していきます。

風戸 裕樹

執筆者:風戸 裕樹

不動産売却・査定ガイド

遵法性の確認ポイントは、建物の建築時と建築後に分けることができます。建築時に関する遵法性は、指定されている建ぺい率(土地面積に対する建築面積の上限)や容積率(土地面積に対する建築延床面積の上限)を順守しているかどうか、建築基準法、都市計画法、地方自治体で定められている条例に即しているかどうかです。建築後に関する遵法性は、利用している途中で増築をしたり、用途を変更したりしていないということです。

建築時の遵法性について

完了検査検査済証

検査済証

建築時の遵法性に関して一番大事なポイントは、行政や指定検査機関の検査を適法に受けているかどうかです。具体的には「建築確認」、「中間検査」、「完了検査」を受けて建築しているかどうかです。通常、施工会社が申請を行い、検査を受ける各種法令に適合していると判断されると、「確認済証」、「中間検査合格証」、「検査済証」が交付されます。手元の資料の中に交付書面の原本があれば心配ありません。

ただ実際は、「検査済証」がない建物が散見されます。理由は、建築途中で中間検査、完了検査に合格しないような設計・用途変更を加えてしまったので検査を受けないことにした、検査費用がもったいないなどです。「確認済証」、「中間検査合格証」、「検査済証」は適法に建築されているという大事な証明になりますので、建築時には必ず検査を受け証明を受け取って欲しいと思っています。

建築後の増築や用途変更について

建築後の遵法性に関して一番大事なポイントは、完了検査後に「増築」や「用途変更」に該当する工事を行なっているかどうかです。「増築」や「用途変更」には申請の必要がないものもありますが、そうではない場合は行政への申請が必要になります。

また建築後に法律や法令が変わることがあります。新しい法律や法令では同じ建物が建築できないこともあり、この建物を「既存不適格建物」といいます。将来的に建替えを考えている買い手は、この点を気にします。

このように、遵法性が保たれていなく、是正出来ない状態は売却価格や売却のしやすさにも影響を及ぼしますので、事前に理解しておきましょう。

測量と敷地境界

一戸建てでは、測量と敷地境界の状態も売却時に大事なことになります。隣地境界の境界標(境界石)というものがあり、境界標と境界標をつないだものが境界線です。境界線に基づき測量を行い土地面積を算出します。境界標を隣地所有者同士が確認した測量図を「確定測量図」といい、通常は隣接地の所有者同士の署名捺印(通常実印)がされています。

境界標と境界確認

境界標の一例

しかし、境界標は土地に埋め込んでいるもので、年月を経過すると、まれに境界標が無くなってしまうこともあります。売却時に境界標がない場合、買い手が購入の条件に「境界標の新設置」や「確定測量図の再取得」を希望する場合もあります。この場合、測量士や土地家屋調査士に作成や取得を依頼しますので、費用が発生し売り手が負担します。土地によりますが、測量に10万円~20万円程度、確定測量に20万円程~40万円程度かかります。

このように売り手は、一戸建てを売却するにあたり、建物の資料や遵法性、土地の状態や問題点を事前に知ること。事前に解消できることなのかどうかを確認し、解消できる問題であれば、どの程度の費用が発生するのかを知っておくと安心な売却ができます。そのためには、売却を依頼する不動産会社の担当者に相談して、アドバイスを受けましょう。
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