我が家が求めている、
「子育てに良い街」の意味を知ろう
仕事柄、子育てに良い街はどこですか?とよく聞かれます。ただ、何をもって子育てに良い街と判断するかはその家庭次第。軽々には答えられないというのが、たいていの場合の答えです。乳幼児への子育て支援が手厚い自治体を良しとするのか、教育に関して熱心な自治体を良しとするのか、あるいは公園や緑地などのある自然環境を良しとするのか、それによってお勧めすべき場所は異なってきます。我が家が何を求めているのか、まずはそれを明確にした上で、その条件にふさわしい街を選ぶべきでしょう。
ひとつ、注意しなくてはいけないのは、購入する場合には、選んだ場所が子どもの成長に従ってふさわしくないと思うようになっても、簡単に住替えられないという点です。たとえば、子どもには伸び伸びと育ってほしい、子ども部屋も必要だろうという判断で、郊外の、自然の多い場所に広い住まいを購入したとしましょう。ところが、その後、子どもの成長に伴い、高校、大学を選ぶ時点になり、郊外の我が家からでは通学に時間がかかり過ぎ、交通費負担も過大になるということがあり得ます。
また、乳幼児への子育て支援は手厚いものの、小学校に入り、学童保育が少ないため、共働きを続けられなくなるというケースも想定できます。子どもを巡る状況は成長とともに変わるもの。現在の状況だけを考えて選んでも、それがずっと子どもにとってベストとは言えない可能性があるのです。また、自治体のサービスは首長が変わることなどで意外に変わります。事前にチェック、検討する必要はありますが、それを絶対だと思ってはいけません。
多くの人がイメージする
「子育てに良い街」の条件をまとめてみると
まずは、いろいろな方からのご質問を元に、多くの人が想定している「子育てに良い街」のイメージを整理してみましょう。●公園や遊び場となる場所が多いなど、自然環境に恵まれていること。郊外をイメージされていることが多く、その場合、住宅価格が比較的手頃なので、広い住宅が手に入る。複数の子どもがいる、あるいは欲しい家庭、親子で一緒にアウトドアライフを志向している、子どもを伸び伸びと育てたいと考える家庭などに多いご意見。
●子どものいる世帯の多い地域。こうしたエリアでは子どものいる世帯向けのサービス、店舗が多いはずですし、同年代の子どもが多ければ親子ともども人間関係が育みやすいと考えられているようです。その意見の延長線上に、同年代の家庭が購入することが多い大規模マンションへの高い評価があるのでしょう。
●教育熱心な家庭が多いと思われるエリアのこと。具体的には、大学その他の学校の多い、いわゆる文教地区がイメージされています。この場合、子育てとはいっても小学校以上の学校教育が中心。こうした地域は住宅価格が高いことが多いものの、地区内では風営法が適用される業種が規制されるなど、住環境としても評価も。
●自治体の子育て支援サービスが充実していること。最近ではこの面で「子育てに良い街」と評価される自治体もあり、子育てにおいて欠かせないものとの認識が高まっています。ただし、具体的なサービスの内容は家庭によって様々。それを整理してみると
・子育てそのものを支援してくれるサービス
・働くお母さんを支援してくれるサービス
・小中学校など公教育が充実している自治体
の3点に大別できるようです。どれを優先しているかは、家庭の状況次第で、当然ですが働くお母さんは2番目を優先して考えていますし、子どもの年代が少し上がり、小学校入学くらいをめどに購入を考えている家庭では公教育が気になっています。
●安心して子育てできること。子どもを狙った犯罪の多発、東日本大震災以降の防災意識の高まりなどから、安心して子どもと暮らせることは住まい選びの大前提です。安心して子育てできることを基本に、上記のその他の条件を重ねて考えることで、我が家にとって「子育てに良い街」の条件が見えてくるはずです。
また、子どもの進学、就職などを考えると足回りの利便性も、忘れてはいけないポイント。あまり、不便な場所では通学が大変でしょうし、学校によっては遠隔地からの受験生を受け入れないことがあるとも聞きます。住宅購入の失敗談でも、友だちと離れずに済むようにと小学校近くに住宅を購入、その後、不便さに泣いたという例はよく聞きます。子どもは成長する、当たり前ですが忘れてはいけません。
次のページでは、イメージする条件に合わせて、何をチェックして住む場所を選ぶべきかを見て行きましょう。