雅でありながらも、ダイナミックな風景が広がる獅子吼の庭
天龍寺の塔頭寺院で、寛正2年(1461)、室町幕府の管領・細川頼之が、夢窓疎石から三世の法孫にあたる聖仲永光禅師を開山に迎え、創建しました。境内全体が、紅葉の名所として知られ、毎年、秋になると「秋の特別拝観」が行われます。宝厳院の紅葉は、境内の「獅子吼の庭」で観賞できます。「獅子吼の庭」は、嵐山、亀山を借景に取り入れた池泉回遊式庭園で、夢窓疎石の法孫・策彦禅師の作と言われています。
「獅子吼」とは「仏が説法する」という意味で、庭園の一画には、無数の円い石を敷しめて苦海を、その向こうに築山で彼岸を表わし、そこに三尊石が配されています。
庭園内には整備された散策路がめぐらされ、そのすぐ脇に、獅子岩や碧岩などの巨大な岩々を見ることができます。これらの岩は、古来よりこの地にあったとされ、そのまま生かされて庭園の石組として活用されています。
また、全体的に岩や石の厳しさが際立つ庭園に曲線を描いた美しい豊丸垣などの垣根を配して、庭趣を和らげています。
こうした、獅子岩や碧岩、豊丸垣に、カエデの大木が覆うように真っ赤に色付きます。雅でありながらも、ダイナミックな風景に、思わず足を止めて見入ってしまうほどの美しさです。また、晩秋になると、緑の苔の上に散り積もった敷き紅葉も見応えがあります。
「獅子吼の庭」は、散策することにより、鳥や風の声を聞き、人生の真理を肌で感じるという、禅の修行のための庭。宝厳院では、これを「無言の説法」と説いています。
■宝厳院(ほうごんいん)
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町36
電話:075-861-0091
料金:一般500円
営業時間: 9:00~17:00
アクセス:嵐電嵯峨野線嵐山駅から徒歩5分
URL:http://www.hogonin.jp/