人混みを避けたからこそ出会えた博物館
わたしは人混みが苦手です。そんなわたしが数年前、渋谷駅のハチ公前やスクランブル交差点の人の流れを避けてさけて歩いていると、その博物館に出会いました。その小じんまりしたたたずまいの建物に入ろうと思ったのは、入口に楚々と飾られたポスターに書いてあった、特別展の浮世絵を見たかったからです。が、「たばこ」と「塩」という、ヒトが文明を持ちはじめてからずっと大切に持ってきたものふたつについて詳しく展示してあるとあっては、すべてを見ざるを得ないのではないか、と思いました。
結局、ひとつひとつの展示をなめるように見て歩き、待ち合わせ時間ぎりぎりまで遊んでしまいました。
たばこと塩の歴史を展示
常設展の展示は、たばこの起源からはじまり、「新大陸」で儀式に使われていた様子や、たばこを吸って酩酊…というよりトランス状態になっている人々の版画でなどが飾られています。カラフルな木製パイプやガラス、陶磁器の嗅ぎたばこ入れなどは美しく、大航海時代における煙草の伝播の様子を表した地図など、歴史としても楽しめます。塩の展示も負けてはいません。いろいろな塩の結晶を見せてくれたり、科学的見地からのアプローチ、世界の岩塩や塩湖の写真の展示に、天然の塩資源に恵まれなかった日本の涙ぐましい努力の歴史を、写真や図解、ジオラマなどで熱く語っています。
渋谷駅ハチ公口から徒歩10分。西武デパートや丸井の喧騒をあとに、パルコの人だかりもすぎて坂道を登っていくと、「たばこと塩の博物館」はあります。一階にはカフェもありますから、渋谷の人いきれに疲れたら、一度のぞいてみてはいかがでしょうか?
■たばこと塩の博物館
住所:東京都渋谷区神南1-16-8
TEL:03-3476-2041
ホームページ:たばこと塩の博物館