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#32『イサム・ノグチ』展/後編(2ページ目)

彫刻から空間デザインへ?その無限の創造力に触発されるイサム・ノグチ展。ニューヨーク、日本の美術館所蔵の作品の中から46点を展示。ガイド自らカメラ片手のプレス・レポートです。取材協力:東京都現代美術館

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

フムフム。。。スケッチコラムが続く



細い通路をぬけると、少し広くなった通路空間に象徴的な石の彫刻がひとつある。

■無言の亜歩み 1974年制作 花崗岩 (東京都所蔵)
写真をクリックすると会場でに描いたガイドのスケッチコラムが拡大されます。
この縦長ドーナツの作品、近づいてみると、石の表面を小さく工具で叩いた仕上げ(小タタキ)とツルリと磨いたところの組合せで出来て、なにか生物の息吹きを感じる。と同時に、ファニチャーイストとしての「引力」というものか、自然に身体(頭)を横にして眺めた。それは程良い固さのソファのように見えてくるからタマラナい。すかさず、スケッチブックに筆が走る。。。

17トンもの大作:『エナジー・ヴォイド』

さて、次の大空間。 ここは吹き抜けでトップライトと西側の窓から外光が入り、非常に爽快で心地よい……ボクの大好きな空間。 ここに、四国香川牟礼、イサム・ノグチ庭園美術館から門外不出とされていた石彫の代表作『エナジー・ヴォイド』が、ドーン!と登場。
■エナジー・ヴォイド 1971・72年制作 スウェーデン産花崗岩 (ノグチ・ミュージアム ニューヨーク、 財団法人イサム・ノグチ日本財団所蔵)
高さ3.6m、幅3.05m、奥行1.4mの重さ約17トンの巨大な石の彫刻。「エナジ・ヴォィド」の意からも感じるくり返し誕生する生命や自然、そして人類を表現しているのか。それにても圧倒的な存在感、そして大きさとは反してなにか軽やかな動きを感じる作品だ。 ここでまたノグチの言葉。 『私が求めているのは、自然の眼を通して自然を視ること、そして特別な尊厳の対象として人間を無視することです。いままでとは逆のこのような態度によって、彫刻は予想もしなかった美の高みに到達できるに違いありません。抽象彫刻の無限の表現分野が開拓されるならば、花も木も、川も山も、そして鳥獣や人間も、それら本来の場所をえて表現されるでしょう。まことに、精神と物質のみごとな均衡をかちとるには、芸術家は統一体としての自然研究を浸り切ることにようって、自然の一部、つまりこの地球自体の一部まで自らを還元し、内奥の姿と生命の要素を視ることが必須の条件であります。(引用:イサム・ノグチ展図録、P105)』 …………とにかく、自然の生命を視ることが、大切だと解いているのだ。そのエネルギーの荘厳な存在を感じることを。
■窓越しに札幌のモエレ沼公園に設置されている遊具、鮮やかなテトラポット風の『オクテトラ』が見える
窓越しに屋外展示場(サンクガーデン)にあるストリートファニチャーが目に入ってくる……エントランス通路で見たあの鮮やかな作品だ。
さて、次ページでは、グランドオープンを迎えた『モエレ沼公園(札幌)』の登場です。
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