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#32『イサム・ノグチ』展/後編

彫刻から空間デザインへ?その無限の創造力に触発されるイサム・ノグチ展。ニューヨーク、日本の美術館所蔵の作品の中から46点を展示。ガイド自らカメラ片手のプレス・レポートです。取材協力:東京都現代美術館

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

日本の庭園に影響されたイサム・ノグチ

大地に根ざし、地球の一部をかたち造る



前編に引続き、イサム・ノグチ展後編です!

会場でボクは
イサム・ノグチ
の作品に何度も引き寄せられた。

それは単なる彫刻ではなく、計算し、デザインされた作品。感銘をうけるほどに、その思いを皆さんにお伝えしたい……著作権等の問題で撮影ができない会場。そこでボクはあらゆる方向から作品を見つめ、フムフムと感心しながら、持参したスケッチブックに作品のディテールを描きはじめた。(会場で、ボクの唸り声、響いていたとおもうなぁ。。。)

■(中央)ツー・イコール・ワン 1988年制作 ブロンズ(香川県文化会館所蔵)
面材構成の作品群……中央の作品:「ツー・イコール・ワン」にボクは引き付けられた。。。
写真をクリックするとこの作品を繊細に描いたガイドのスケッチコラムが拡大されます。
ノグチは彫刻家でありながら、なぜテーブルや椅子などファニチャーのデザインができたのか?…その理由がわかる作品と出会ったような気がした
それは、造形だけではなく、機能や構造、そして製作する為のディテールを、彼はしっかり見据え、計算しつくして創っているからなのだ。 さて、その奥の薄暗いスペースに移動したとたん、心地よい静寂を感じた。
■(手前)「オリジン」1969年制作 アフリカ産黒花崗岩 (ノグチ・ミュージアム ニューヨーク所蔵)、(奥)「エイジ」 1981年制作 玄武岩 (ノグチ・ミュージアム ニューヨーク所蔵)
床に浸透するかのように石の彫刻が点在している。 何処かで見かけた風景……そー、あの竜安寺の石庭だ。
砂と石の配置で自然界や宇宙を表現しているといわれる禅の庭園……荘厳な美しさと静けさがある日本を代表する石庭、まさにその風景をココに感じる。

ノグチが語っている。
『日本では、庭園の石は地下の根源的な塊からの突起を暗示するように、土に埋められている。全ての石は非常な重さを持ち、それ故庭全体を一個の彫刻だと言いえるし、あらゆる石の根は合一している。(引用:イサム・ノグチ展図録、P104)』

ノグチの作品は、大地に根ざし、地球の一部をかたち造るもの。「自然の造形」なんだなぁ。。。彼に流れている日本人の血が、その感性を育んだのだろうか。。。。。



さて、次ページでは、門外不出とされていた石彫の代表作『エナジー・ヴォイド』が登場します。
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