歯の溝が黒いのは着色?それとも虫歯?

歯のミゾ

若い人ほどクレバスのようにみぞが奥深く続いている

臨床で良く見かけるのは、奥歯の歯の溝に沿って黒くなっているケース。黒い線のように見えますが、これは単に着色しているわけではなく、厳密に言えば虫歯になっていることが多いようです。歯の溝は歯ができたときから存在していて、溝の底は奥に向かってまるでクレバスのように象牙質に近い部分まで伸びています。

歯の溝の隙間は食べ物や虫歯菌が溜まりやすく、歯ブラシの先端でも取り除くことが難しいほど狭い間隔しかありません。さらに溝の部分のエナメル質はほかの部分に比べて柔らかいため、虫歯に対して抵抗性も弱くなっています。このため虫歯の好発場所となっているのです。

単に着色だけの場合でも、ブラッシングでは毛先が奥まで届かないため着色を落とすことが困難です。しかしホームホワイトニングを行なうと薬剤が溝に浸透して色素を分解し、黒い線がきれいになることがあります。

歯の溝の虫歯治療法

歯の溝に虫歯ができてしまった場合、保存的と積極的な2つの治療法が考えられます。

■保存的治療
溝が黒く虫歯になっていても歯の場所や形によっては、溝にある虫歯が歯を溶かすスピードよりも、溶けた歯を唾液が修復する再石灰化が上回っていることがあります。この場合、急激に進行することは少ないため、溝の虫歯は現状を維持したまま進行せずに経過観察をすることができます。

さらに再石灰化を繰り返しているうちに次第に溝の部分が硬くなってきます。つまり時間とともに虫歯が進行しにくくなっていくのです。溝が黒いことさえ我慢できれば、無理に歯を削って詰めなくても済むようになります。

■積極的治療
審美的に黒い溝が問題になる場合や、歯の再石灰化が間に合わずに溝の奥が虫歯に溶かされ続けている場合は、溝に沿って歯を僅かに削り、白い樹脂などで埋め戻します。

特に再石灰化が間に合わないような状況では、虫歯が溝の奥に進行してしまうと溝の底が象牙質に近い部分まで伸びているために、象牙質や神経の近い部分までに短期間で虫歯が到達することもあります。こんなときは早急に治療する必要があります。


保存的治療か積極的治療かの判断は、歯科医院は一般に器具で歯の溝を触ってその感触で確かめたり、光で内部の空洞を確認したり、レントゲンや目視などが基準になります。このほかに最新の診断機器のなかには、溝の虫歯の程度をレーザーを利用して数値化し、判断に役立てることができるものもあります。

歯の溝を黒くしない予防法…シーラントやブラッシングが有効

黒い線ができてしまう前に、溝を簡易の樹脂で埋めてしまう「シーラント」が有効です。シーラントは、永久歯の生え始めのまだ柔らかい歯のみぞを、虫歯や着色が起こる前に樹脂で予防的に埋めてしまいます。こうすることで、溝の中に虫歯菌や色素などが入り込まないようにすることができます。

もしすでに溝が黒くなっている場合は、できるだけ歯を削らずに「保存的治療」の経過観察に持ち込むことが大切です。そのためには再石灰化が確実に行なわれるようにする必要があります。具体的には、歯の溝の汚れやプラークををブラッシングで確実に取り除くこと。

特にきちんと噛み合わせができていない歯は、食べ物が噛み合わせ面で噛み砕かれる時に歯の表面をきれいにする自浄作用が働かなくなります。そのために汚れやプラークが溝に残りやすくなります。すると唾液が溝に入り込むことができなくなり、再石灰化が間に合わなくなります。唾液が十分に溝に入り込めるように汚れやプラークの除去をしっかり行なうように心がけましょう。

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