歯・口の病気/歯磨きの方法・歯ブラシ・歯磨き粉

正しい歯の磨き方・間違いやすい歯磨きの方法

【歯科医が解説】正しい歯磨きにはコツがあります。間違った歯磨きの方法では、虫歯や歯周病予防の効果がうまく得られないこともあります。「食後3分以内の歯磨きで虫歯が予防できる」「歯磨き粉の研磨剤で歯が削れる」「歯周病予防のためにデンタルフロスが大切」といった説は本当でしょうか? 正しい歯磨きの仕方をチェックしてみてください。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

正しい歯の磨き方・間違いやすい歯磨きの方法

正しい歯磨きできていますか?  常識だと思っていることが実は間違いなことも……


「歯磨き」は生活習慣の一つですが、毎日繰り返し続けている分、意外と間違いに気づかないままというケースも珍しくありません。歯磨きに関するよくある思い込みや、よく言われているウワサについて、Q&A形式で解説していきます。
 

Q. 食後3分以内に磨けば、虫歯になりにくい? 子どものころ「食べたら3分以内に歯磨きしなさい」なんて言われませんでしたが? これはある実験のデータから、砂糖水を口に含むと約3分で歯が溶け始めたため、その前に歯垢を取ってしまえば虫歯になりにくいといった話でした。

よく考えると、これは食事を摂り始めてから3分以内に歯磨きをしなくてはならず、食後の3分以内に磨けば虫歯になりにくいといったことではありません。

→ A. 「うそ」
 

Q. 歯磨き粉の研磨剤で歯が削れる?
最近の歯磨き粉はしっかり使ってもそれほど歯は削れない

最近の歯磨き粉はしっかり使ってもそれほど歯は削れない

歯磨き粉には研磨剤が入っているので使わないで歯を磨いたほうが歯のためにいい。こんな話を聞いたことはありませんか? 歯磨き粉を使用しなくてもプラークを落とすことができますので、使わなくても問題はありません。

しかし、現在ではフッ素入りなど、歯に対してメリットのある製品が多く、研磨剤に関してもクレンザーのような強い研磨作用はないので、それほど心配しないで使用することができます。

→ A.「うそ」
 

Q. 歯ブラシの毛先が開いたら交換? 毛先が歯ブラシの幅より開いてきたら、汚れが取れなくなるので交換しようと思っている人はいませんか?

歯ブラシの毛先が開いてくると表面的には汚れは取れますが、歯と歯の間に毛先を差し込みにくくなってしまいます。「効率的な歯磨きの方法とは?」で磨き方を確認してみてください。

一般的には歯ブラシは毛先の「かど」の部分が重要なので、毛先が開いてきたら、かどがなくなり丸くなります。このため交換したほうがいいと思われます。

→ A.「本当」
 

Q. 歯磨きは1日1回だと虫歯になる? 歯磨きを1日3回毎食後に行なっている人は、怖くてできないことですが、1日1回しか磨かないという人もいます。どちらが虫歯になりやすいでしょうか?

実は虫歯に関しては1日1回でもしっかり磨けていれば大丈夫です。むしろ間食など、食べる回数が多い方が虫歯になるリスクが高くなります。

→ A.「うそ」
 

Q. 歯ブラシは柔らかくても汚れは取れる?
あなたの歯ブラシの硬さは?

あなたの歯ブラシの硬さは?

歯ブラシ選びの時、柔らかい歯ブラシは汚れが取れない気がして、痛くない程度の硬めの歯ブラシを選んでいる人いませんか?

歯ブラシが硬くても柔らかくても口の中の汚れを落とす効果は同じです。落とす相手が硬ければ歯ブラシも硬いほうがいいですが、歯ブラシで落とすのは「プラーク」と呼ばれる柔らかい汚れです。

したがって、かなり柔らかめの歯ブラシでも歯ブラシのかどがしっかりしていれば汚れは十分に落とすことができます。最近では歯ブラシは柔らかいものを勧める歯医者さんが増えてきています。

→ A.「本当」
 

Q. 歯周病予防のためにデンタルフロスが大切? スーパーやドラッグストアなどで様々なオーラルケアグッズを目にします。歯ブラシ以外の補助器具を買う際に、検診で「歯周病に注意してください」といわれ、フロスを買って歯の間の掃除をしている人いませんか?

フロスは、歯と歯の間で歯がしっかりとくっついている部分を掃除するために使います。決して、歯肉に強く擦るようには使ってはいけません。このため、歯周病の予防にはあまり効果がありません。歯周病予防では歯と歯肉の間の汚れを取ることが重要だからです。

虫歯予防には「フロス」、歯周病予防には「歯間ブラシ」と覚えましょう。

→ A.「うそ」

全部知っていた人は、オーラルケアに対してかなり関心の高い方だと思います。勘違いしていた情報があるという人は、今後の正しい歯磨きの参考にしてみてください。
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