住宅工法/耐震住宅・住宅工法

プロが行う木造戸建て住宅の耐震診断(2ページ目)

1981年6月以前に確認申請を受けた築30年を超す古い木造住宅では、震度6~7の大きな地震が来た時に倒壊・崩壊する危険性があります。ぜひプロによる耐震診断を受け、必要であれば耐震補強をしましょう。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド


判定を目的とする「一般診断法」

一般診断法では建物を破壊したり内装材や外装材をはがしたりせずに診断を行います。もともと「耐震補強をするか、しないか」の判定で用いられてきた方法ですが、一般診断法だけで耐震補強設計に進むことや、改修後の耐震性の診断に用いることも可能です。一般的な木造住宅では現在こちらの診断法が主流になっています。

診断の方法は、建物の構造や屋根や外壁の重さ、壁がどこにどの程度入っているか、どんな強さの壁が入っているかなどを、平面図や仕上げ表などを元に診断を行います。設計図書が残っている必要があり、無い場合は現地調査をしてまずは設計図を作らなけれななりません。

 

より詳細な診断を行う「精密診断法」

一般診断法より精密な判定を行う場合は「精密診断法」を利用します。各部分毎に評価を行うので、天井裏や床下の調査や、必要があれば内装材をはがすといった破壊検査が必要になります。改修の最終的な判断を下す時や、改修後の耐震性を診断する時に用いられます。


 

耐震診断でわかること

【図1】耐震診断の判定基準

【図1】耐震診断の判定基準

耐震診断では以下の2点について診断が行われます。

(1)地盤や地形、基礎
(2)上部構造評点


(1)では 地盤や地形、基礎についての注意事項が示されます。
(2)では 上部構造(建物)の耐震性について【図1】のような評点で評価します。

上部構造評点の数字は、大地震が起きた際に、建物にかかる力の何倍まで耐えられるかを示しています。ここで上部構造評点が1.0以上であればよいのですが、もし1.0未満という結果が出た場合、1.0以上になるよう耐震補強を行っていく必要があると判定されます。

 

耐震診断は誰に頼む?

今回取り上げた「一般診断法」「精密診断法」は、耐震診断の経験が豊富な建築士など建築の専門家に依頼します。以下のサイトで耐震診断を行っている事務所を登録・公開しています。

木造住宅の耐震診断事務所の登録・公表(東京都) 
日本木造住宅耐震補強事業者共同組合

 

耐震診断の費用は?

耐震診断に掛る費用は、設計図の有無や建物の形状、築年数に寄りますが、概ね10万円程度~20万円程度となっています。耐震診断・耐震補強の費用に関しては助成を行っている自治体も数多くありますので、ぜひお住まいの自治体に問い合わせをしてみてください。

都道府県の耐震改修計画及び耐震診断・耐震改修への支援制度 一覧

【関連記事】
地震に弱い住宅を見分ける5つのキーワード
あなたの家の「地震」適応力は?
新しいほど耐震性は高い?耐震基準の変遷
戸建て住宅の耐震性は1981年と2000年が転換期

Copyright(c)2012 住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 All rights reserved.

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます