カフェ/吉祥寺・荻窪・国分寺・青梅のカフェ

ねじまき雲(陽)…国分寺(4ページ目)

新刊書籍『東京カフェ散歩 観光と日常』に掲載したお店の中から、青梅から国分寺に移転したねじまき雲(陽)のページをご紹介します。魂に沁みるコーヒーと出会える場所。

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

ねじまき時計の長針と短針

「陽」のために何年も前から用意されていた古時計は、ねじを巻かれ、扉の上で光の時を刻んでいる。その長針と短針が世の中の主流とはずいぶん離れた数字を指しているとネジさんは感じているようだが、世界中の珈琲がみな同じ味をめざすほど恐ろしいことはないと思う。

ねじまき雲を愛する人々は、ネジさんと百合子さんが自分たちの手で時間をかけて育ててきた、借り物でない「生きるための尺度」と、その尺度にどこまでも忠実であろうとする味に惹かれているのだ。この二人にしか表現できない、代替品のないもの。

コーヒーとエスプレッソのメニュー

さまざまな抽出器具に合わせて、コーヒー豆が選ばれています。

さまざまな抽出器具に合わせて、コーヒー豆が選ばれています。

カリタの三つ穴ドリッパー、コーノの一つ穴円錐形ドリッパー、コーヒープレス、一滴ずつ時間をかけて抽出するウォータードリップ、サイフォンなど、抽出器具の持ち味を活かして、各器具に最適な豆と焙煎方法で提供する珈琲のあれこれ。有機ピーナッツクリームをエスプレッソに練り込み、メープルシロップとアーモンドとシナモンを香らせた「なっつラテ」などのアレンジ。珈琲豆を漬けたお酒。ここで発見する味の数々は本当に楽しい。

訪れたらまず、心優しい言葉が綴られたメニューを読む時間をのんびり味わってほしい。いつもお客さまの前で大きな体を小さくしている店主は、決してせきたてたるようなことはしないはずだ。
波ガラスの向こうに、コーヒーやエスプレッソを抽出する厨房があります。

波ガラスの向こうに、コーヒーやエスプレッソを抽出する厨房があります。

そうそう、今度の珈琲のお供は、信頼関係を築いてきた、焼き菓子の得意なカフェたちの協力を得ている。たとえば「ソメイエ」に依頼して実現したのは、杏仁豆腐味(!)のカップケーキ。そんなコラボレーションも新しい試みのひとつであり、店内はアーティストたちに作品展示の場として活用してもらうことも予定しているそうだ。

白い壁にとつぜん出現する幻灯。

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