ねじまき時計の長針と短針
「陽」のために何年も前から用意されていた古時計は、ねじを巻かれ、扉の上で光の時を刻んでいる。その長針と短針が世の中の主流とはずいぶん離れた数字を指しているとネジさんは感じているようだが、世界中の珈琲がみな同じ味をめざすほど恐ろしいことはないと思う。ねじまき雲を愛する人々は、ネジさんと百合子さんが自分たちの手で時間をかけて育ててきた、借り物でない「生きるための尺度」と、その尺度にどこまでも忠実であろうとする味に惹かれているのだ。この二人にしか表現できない、代替品のないもの。
コーヒーとエスプレッソのメニュー
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さまざまな抽出器具に合わせて、コーヒー豆が選ばれています。
訪れたらまず、心優しい言葉が綴られたメニューを読む時間をのんびり味わってほしい。いつもお客さまの前で大きな体を小さくしている店主は、決してせきたてたるようなことはしないはずだ。
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波ガラスの向こうに、コーヒーやエスプレッソを抽出する厨房があります。
白い壁にとつぜん出現する幻灯。