Q:日本ブランドのショップに対して、反日感情などは感じませんか?

先ほどお話した見本市インテリア ライフスタイル チャイナは、今年も10月10日~13日に行われ「JAPAN STYLE」の出展ブースには数千人が訪れました。反日的な雰囲気は不思議なほどなく、こちらが意識し過ぎているのではと思ったほどです。

ショップをオープンした9月11日も反日デモまっさかりの時でしたが、今のところトラブルはないようです。中国市場において日本ブランドのもつステイタスは、日本で報道されているようなデモや反日感情には影響されないと現地で感じました。報道などに惑わされず、自分の感覚を信じることが大切と改めて思います。

日本の「生活」を提案する

Q:上海ショップはどのようなお店ですか。日本と異なる点はありますか?

JAPAN STYLE

JAPAN STYLEの生活用品を陳列したコーナー。伝統の手仕事を活かした質の高い製品です。

置き家具をコーディネイトするだけではなく、壁面収納や住宅設備なども合わせ、TIME & STYLEとして最先端の提案を行なっています。TOTOのバスタブや東芝の家電、キッチンハウスのキッチン、壁の左官材なども提供してもらい、現代日本の「生活空間」を提案する場をプランしました。またJAPAN STYLE参加メーカーの伝統工芸を活かした日用品も陳列し、今後も充実させていきたいと考えています。王社長は自らの雑誌をとおして、失われつつある中国の伝統工芸を発掘し、保存・活性化する活動も行なっています。大陸のDNAを継承した日本の伝統工芸にも、中国人を共感させるものがあるのではないでしょうか。

実際の店舗は上海郊外のインテリア専門の巨大な商業施設にあり、店舗面積は約150坪です。インテリアプランニングの依頼があれば、日本のスタッフが上海へ飛び設計を行なっています。中国の家具の価格帯からすると、当社の製品は高額で、もし似たようなものを中国で作れば数分の1の価格になるでしょう。ですから家具単体を提案しても仕方ないと考えました。

bath

バスルームの提案。バスタブはTOTO製。

日本のウォシュレットや家電、ユニクロの衣料品、無印良品の生活用品は上海にも浸透していますが、ライフスタイル全体の提案は、実際にはまだ行われていません。実は中国のマンション販売は「スケルトン・インフィル」が主流で、内装されていない状態で購入し、各戸が自由に設計・施工します。その意味で中国は、我々の目指している内装から家具までのトータルプランニングを実現しやすい環境にあり、インテリアのスタイルがまだ確立されていない分、自分たちの理想を追いかけていけます。

アジアとしての生活価値を創造したい

Q:中国側とのパートナーシップに不安はありませんか?

チャイナリスクなどの問題もとり沙汰されるなか、不安がないわけではありません。パートナーの王さんも出版社の社長であり、家具の専門家ではありません。しかし、もし家具のプロとして業界に精通し、流通ネットワークを持っている人物であれば、こうは上手く行かなかったと思います。

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王社長の発行するインテリア雑誌「ホームデコレーション」。TIME & STYLEの紹介も掲載されています。

明治から長い間、日本のインテリアデザインは、ヨーロッパの価値観を基準に培われてきました。しかしこれからは、アジアとしての生活の価値を創造していくことが必要です。中国をはじめ、タイやベトナムなどの人々も経済的にゆたかになり、インテリアデザイン、ビジネスの世界でも一緒に歩んでいける可能性があると思います。それは王さんともお付き合いするなかで、徐々に感じてきたことです。

当社は長年、ヨーロッパの家具を輸入してきましたが、彼らの判断基準となるのは契約と売上です。一方、王さんとはそれと異なる感じを受けました。とても「義」を大切にする方で、ショップ経営は事業としても大きな負担になっているはずですが、利益を出すことを急いではいけないといいます。これはヨーロッパの企業ではありえません。結局は中国という国とではなく、パートナーとのビジネスであることを今は強く感じています。


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