住宅工法/耐震住宅・住宅工法

合板でつくる耐震の家(2ページ目)

住宅は住み心地ももちろん大切なことですが、その前に大前提として家族の安全を守る強い構造でなければなりません。木造住宅では筋かいによる耐力壁が主流でしたが、近年はこれに変わって構造用合板が使われることが多くなりました。今回はそんな合板についての解説をしていきます。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド


筋かいと合板は地震に対してどう違うの?

◎方向性がない
筋かいの耐力壁は基本的に、筋かいが圧縮になるときに力を発揮して地震に抵抗します。引っ張りを受ける時には筋かい端部の接合部は十分に抵抗できないことがあるので筋かいはバランスよく入れる必要があります。これに対して合板の耐力壁は“面”なので、方向性がありません。
参考:構造用合板の手引き(東京合板工業組合)

参考:構造用合板の手引き(東京合板工業組合)



◎力が分散する

筋かいの耐力壁は、筋かい自身とその接合部に大きな力が集中する構造です。一方合板の場合は、力の伝達が多数の釘を介して行われているので、力が集中せず分散する構造になります。

◎耐力壁の幅の最小値は
建築基準法では、耐力壁の幅の最小値や合板の最小の大きさについての規定はありません。しかし筋かいの耐力壁の幅は90cm以上で効果があります。一方で合板は60cm以上かつ階高/幅が5以下を目安に幅も狭くても効果を得られます。


床に構造用合板を使う

耐力壁が十分配置されたとしても水平構面(床など)が弱いと建物は倒壊します。
図のように耐力壁の配置が悪い建物の場合、水平構面の剛性が低いと水平構面はひし形に変形し、地震力は2つの妻壁に等分に加わることになります。したがって開口の大きい手前の妻壁は大きく変形し、建物は大きな損傷を受けることになります。
しかしながら水平構面が剛床であれば、水平構面は変形せず、矩形を保つので仮に耐力壁の配置がアンバランスであっても直交壁を補強することでその影響はかなり減少させることができます。

参考:構造用合板の手引き(東京合板工業組合)

参考:構造用合板の手引き(東京合板工業組合)



ガイド佐川のワンポイントアドバイス

合板はグリーン購入法の環境物品に指定されたり、環境にも貢献しています。直接目に触れることは少ないのですが、地震に強い建物をつくるにはなくてはならない存在になっています。近年は合板を使って大きなホールが造られるなど、用途の幅も広げています。一時、接着剤などによる問題を取り上げられていましたが、安全な建材であり、多く使われています。
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