ハウスメーカー・工務店/住宅メーカー・ハウスメーカー比較[工法・耐震・デザイン]

高齢者介護&保育施設から見えるハウスメーカーの実力(2ページ目)

ハウススメーカーでは現在、戸建てなどの住宅だけでなく、実は様々な事業やサービスを展開しています。今回はこのうち高齢者介護施設や保育施設の事例をご紹介します。そこにはハウスメーカーが有する底力が現れており、皆さんの住まいづくりにも役立てられる要素が見えてくるかもしれません。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

ミサワホームは、保育施設経営を行っているコビーアンドアソシエイツと協力し、保育事業(子育て支援事業)に取り組み、現在までに5ヵ所(リフォームを含む)が展開されています。ちなみにミサワホームは、マザアスという関連会社を通じ古くから取り組んでおり、高齢者介護事業に数多くの実績がある会社でもあります。

キッズデザインのノウハウを生かした保育施設

保育施設の内部の様子

「コビープリスクールよしかわステーション」の内部の様子。50mの大空間からなり、子どもたちが生き生きと保育を受けられるような設計となっている(クリックすると拡大します)

話を子育て支援に戻します。ここでは今年3月に開園した「コビープリスクールよしかわステーション」(埼玉県吉川市、2階建ての鉄骨造、運営はコビーアンドアソシエイツが設立した社会福祉法人コビーソシオ)を事例に見ていきたいと思います。

特徴は全長約50mの大空間。ライブラリーやアートコーナー、コミュニティスペース、音楽ホール、茶室、キッチンスタジオなどテーマ別の学びの空間が配置され、園児の興味や保育テーマに応じて、自由に活動できる空間となっています。

これは、コビーアンドアソシエイツが考案した縦割り保育(異年齢児交流保育)と横割り保育(年齢別保育)を融合した「マトリクス保育」というスタイルを、より効果的に行えるように配慮したもの。非常に高度な設計配慮が必要ですので、ミサワホーム総合研究所が設計を担当しています。

キッチンスタジオ

「キッチンスタジオ」の様子。食事を作っている様子が子どもたちは見ることができるため、いわゆる「食育」の効果が期待される(クリックすると拡大します)

中でも特徴的なのがキッチンスタジオ。全面ガラス張りの調理室で、園児が調理過程を見られるようにすることで、料理を作る楽しみや食べる楽しみ、片付ける楽しみを通じて、職の大切さなどを教える「食育」に取り組むためのしつらえだそうです。

さて、小さな子どもたちが学んだり過ごす場所ですから、安全性への配慮が非常に大切な要素となります。ミサワホームでは住宅供給の実績の中で「キッズデザイン賞」を受賞するなどこうした分野でのノウハウ蓄積があり、当然、この施設の中にも取り入れられています。

例えば床材などは滑りにくく、仮に園児が転んだとしても大きなケガにはなりにくい素材が使用されていますし、子どもたちが触ると危険なもの(コンセント)などは、手が届かない場所に取り付けられています。また、シックハウス症候群になりにくい建材の使用など、室内空気質へのこだわりはハウスメーカーならではの配慮といえそうです。

ノウハウの蓄積やネットワークの広がりがハウスメーカーの強み

ところで、ミサワホームの子育て支援事業や大和ハウスの高齢者介護事業をなぜ皆さんにご紹介するかというと、単にそれぞれの会社の事業を紹介したいからではありません。その他のハウスメーカーでも似たようなかたちで展開していますし、それらをご紹介するのにはこのガイド記事では十分ではありません。

階段

階段の様子。手すりが子供用と大人用の二つついている点に注目されたい。このあたりもミサワホームの「キッズデザイン」が反映されている点だ(クリックすると拡大します)

皆さんに注目していただきたいのは、介護や保育の事業にそれぞれのハウスメーカーが持つ底力が見えてくるということと、その底力は今後皆さんが住まいづくりをする上で、大きな手助けとなる可能性があるということです。

新たな住まいを検討する際、例えば高齢であったり重い病気で大変高度な介護が必要とされる方がいらっしゃるとか、前述したような重いシックハウス症候群に苦しんでいるお子さんをもたれているケースであるとか、難しい条件をお持ちの方もいらっしゃると思います。

そうした方々は、困難な条件に的確に対応し、病気の症状を改善したり介護がしやすい設計を提案してくれる住宅供給者に出会うことが必要になります。ですので、ハウスメーカーの介護や保育の実績はその提案の善し悪しを判断する材料になるはずですし、皆さんの困りごとに対応する様々なネットワークやノウハウを有していることもハウスメーカーの強みだと指摘できます。

それらについて皆さんにとって知っていて損はないと思い、今回ご紹介したものです。もちろん、全てのハウスメーカーにそうしたノウハウやネットワークがあるわけではありません。ですから、ハウスメーカーの個別の研究が必要となります。また、切実さをうまく伝える努力も私たち消費者には求められるかもしれません。
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