クロスオーバーでスピーカーの能力を引き出す
他にカーナビやカーオーディオによくある機能として、クロスオーバーとタイムアライメントがある。以前は、高級機のみに搭載されていた機能だが、最近はたとえばカロッツェリアDEH-970のように、3万円台のリーズナブルなモデルにも搭載され身近な機能になった。これらは、役割を紹介しておく。クロスオーバーとは、各スピーカーに送り込む音楽信号に周波数帯域の制限をかける役割を持つ。たとえば高域用のトゥイーターと低域用のウーファーで構成された2ウェイシステムがあったとすると、トゥイーターには高域の信号だけを流し、ウーファーには低域の信号だけを流してやる。その時に、どこまでの周波数を送り込むかを調整できるのがクロスオーバーだ。
なぜ、この調整が必要かというと、スピーカーが持つ能力の優れた部分を引き出すため。たとえばスペック上では再生周波数帯域50Hzから5kHzというウーファーがあったとしても、その帯域の上限や下限では周波数特性が乱れているものだ。そんな乱れている部分をカットして特性がスムーズな部分の周波数だけを流してやれば高音質で音楽を楽しめるというわけ。トゥイーターも同じことで再生周波数帯域の限界付近では特性が乱れるので、その周波数を鳴らさないようにクロスオーバーで調整する。またトゥイーターに再生限界以下の低音を流すとトゥイーターが破損する場合もあるので、それを防ぐ役割もある。
快適なステレオ音場を再現するならタイムアライメントを活用
タイムアライメントは、各スピーカーから出た音が、同時にリスナーの耳に届くように、スピーカーから音がでるタイミングを調整する機能。ある意味、カーオーディオならではの機能である。なぜ、このような機能が必要かは、ホームオーディオ等と比べてみればわかりやすいだろう。家庭で音楽をじっくりと音楽を聴く時は左右のスピーカーから等距離の場所に腰掛けると思う。こうすることで理想的なステレオ音場を再現できる。ところがカーオーディオの場合、右ハンドル車の運転席に座れば右側のスピーカーが近くなるという具合に、左右スピーカーから等距離の場所に座ることは不可能。当然、近いスピーカーの音が先に聞こえてしまうので、理想的な音場は再現できない。またトゥイーターとウーファーが分かれた2ウェイスピーカーの場合、トゥイーターが近ければ高音だけが先に聞こえるということになり、妙に高音が耳についたりすることになりかねない。
それを解消するのがタイムアライメント。近いスピーカーにディレイをかけて、すべてのスピーカーから出た音が、同時にリスナーに届くように調整する。そうすることで、ホームオーディオのベストなリスニングポジションで聴いているような、理想的なステレオ音場の再現ができるのだ。なお、アルパインではタイムコレクションという名前だが、同じ機能である。
これらの機能を使いしっかりと調整すれば、音は見違えるように変わるのでしっかりと調整したい。
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