スマホアプリを活用しよう
とはいっても、音楽を聴いているだけでは「ちょっとヴォーカルが弱いな」とか「低音がもこもこする」といった感覚はあっても、どの周波数を調整すればなだらかな音響特性になるかは、よほど手慣れた人でなければわからないと思う。そこでスマートフォンをお持ちの人なら、音響特性を測定できるアプリを活用したい。たとえばiPhone用には音響測定器メーカーのエタニ電機が出しているETANI RTAという無料アプリがある。このようなアプリを使えば簡単に車内の音響特性を測定でき、どのあたりの周波数特性が乱れているのかを把握できるので活用したい。ただし、測定するにはオーディオ機器でピンクノイズを再生しなければならない。ピンクノイズを再生するiPhoneアプリもSignalSuiteなどいくつかあるようだが、1台のiPhoneでピンクノイズ発生と音響特性の測定を同時に行うことができないため、2台のiPhoneが必要だ。また、手前味噌になるが拙著の「カーオーディオ・パーフェクトセオリーブック2サウンドチューニング・マスター」というムックには、ピンクノイズ入りのCDを付属しているので、こちらを活用する手もある。
うまく調整するには音楽をよく聴くこと
さて、測定するには運転席に座り、ピンクノイズを再生した状態で、音響測定アプリを立ち上げたスマートフォンを顔のあたりに持ってきてしばらく待つだけ。これで、厳密ではないがある程度大まかな音響特性を把握できる。あとは、この音響特性を元に調整すればいい。たとえば2kHzのあたりに特性の山があったら、音楽を聴きながらイコライザーで2kHzのレベルを−1dB、−2dB、−3dBと徐々に下げてみて、聴き心地がいいポイントを探る。逆に、特性が谷状に落ち込んでいる周波数があったら、その付近の周波数を+1dB、+2dB、+3dBと徐々に持ち上げてみて、頃合いのいいポイントを探せばいい。ちょうどいい頃合いのポイントを見つけやすくするために、再生する音楽は、ヘッドホンや家庭のオーディオシステムでも聞き慣れたものがいい。ヴォーカルや楽器の音量バランスが、ヘッドホンなどで聴いた時と同じようになるレベルに合わせればいい。そのためにも、よく音楽を聴くことが大切だ。