トラベラーズ・チェック(T/C)の利点について
※編集部注:トラベラーズ・チェックの日本国内での販売は2014年3月31日をもって終了しています。2014年4月以降も海外旅行などでの利用は可能で、国内でも引き続き換金することができます。ATMに押されて過去のものになりつつあるトラベラーズチェック。その高い安全性は今も健在、退役が惜しまれる。
実際ガイドも、最近は海外でT/Cの利用を断られたことが少なからずあります。ましてや、金銭的メリットを享受する事はかなり少なくなってきたといって差し支えありません。
理由を簡単に箇条書きにしてみます。
- 現地通貨に換金する時に手数料が掛かる事がほとんど。
- T/Cを受け付けてくれない両替所も多い。
- 良いはずのレートが、現金と同じという事もよくある。
- 額面が大きくてこまめな両替に向かない。
といった具合です。こうなると今ではT/Cのメリットは再発行可能という安全性のみといっても過言ではありません。しかし、昔を懐かしむわけではありませんが、この安全性がけっこうありがたいのです。
なぜなら長期の旅行になればなるほど費用を現金一括で日本から持っていくというわけにはいかなくなりますから、否応なくクレジットカードなどの“非現物”に頼るケースが多くなります。
ATMごとに各カードとの相性は千差万別。使えない可能性も少なくない
例えばこれだけ訪日外国人観光客が増えている日本でも、国内のATMは「日本国内発行のカードのみ使用可能!」という所が非常に多く、外国人の大きな悩みの種になっています。つまり、カードに100%頼るのははっきり言って危険なのです! 現地に着いた瞬間に一文無しなんて、考えただけでも恐ろしいことです。
カードを複数枚持つことによってそのリスクを減らすことはできますが、決してゼロにはなりません。だからといって、多額の現金を合わせて持っていくのは安全面、経済面からも決して得策とは言えません。
そんな時に、リスクを担保してくれるのがトラベラーズ・チェックという“現物”なのです。無事ATMで現金を引き出せたら、あとはスーツケースの中に忍ばせておくだけでOK! なにしろ、最悪盗まれても現地、もしくは帰国後に再発行ができるのですから。
残念ながら日本国内の金融機関での新規発行はほとんど終了していますので、現在T/Cを保有している人はそのまま“虎の子のゼニ”として非常用に継続保有するのも一案です。ただし、今後の情勢の変化には注意してくださいね。
その他の両替上の注意点
最後になりますが、その他の注意点を何点か挙げておきます。- 深夜便で到着する時は、すでに両替所が閉まっている事がよくあります。ATMで引き出せるようにしておくか、最低でもドルの小額紙幣を準備しておくべきです。
- 両替の時に渡されるレシートや証明書は、捨てずに大切に保管しましょう。帰国時、円やドルに戻す時に必要になる事があります。
- 渡されたお金は、いかに長蛇の列が出来ていようとも、必ずその場で金額をしっかり確認する事。テラーが間違える事もありますし、確信犯の場合もあります。私は以前、エジプトのカイロ空港で両替をした時、25エジプトポンド札として渡された紙幣が実は全部25ピアストル札(1ポンド=100ピアストル)で、大損をさせられた事があります。しかし、一旦カウンターを離れてしまったために、後の祭りでした。空港でまさかそんな……と思うのは日本人の感覚です。
- 街中で個人的に両替を持ちかけられる事(いわゆる闇両替)がありますが、偽札を掴まされる事もありますし、国によっては違法の所も多いですのでやめましょう。
- コインはその国を一歩でたら両替は不可能です。記念品にするか、よく空港に置いてある赤十字などの募金箱に寄付してしまいましょう。
海外のお札は一見しただけではいくらだか分からないことも(写真は25エジプトピアストル)