中国経済の底打ち期待
米国のQE3と中国経済の底打ちで香港株の上昇成るか!?
また、10月の消費者物価指数は前年同月比で1.7%増(9月は1.9%増、市場予想も1.9%増)、卸売物価指数は2.8%の低下(9月は3.6%の低下、市場予想は2.7%の低下)とこちらも前月や予想以上に物価が落ち着いているということを示しており株式市場にはプラスです。物価の落ち着きは金融緩和の余地を拡大させます。
その他、HSBCが発表しているPMIの10月確報値は49.5となり、9月の確報値である47.9から上昇しています。また、中国物流購買連合会(CFLP)と中国国家統計局が発表している公式PMIは50.2となり、こちらも9月の49.8から上昇しました。PMIは50が景況感の境目となりますが、公式PMIは3ヶ月ぶりに50を上回りました。これらの経済指標は中国経済が7-9月期で底を打ったかのような兆候と見て取れます。
香港株は金融相場で上昇
他方、軟調な中国本土株に比べ、香港株は金融相場が到来し、9月以降、株価は上昇しています。これは米国がQE3(量的緩和政策第3弾)の実施を決定したことによるものです。米国は2012年9月13日のFOMCでQE3の実施を決定。毎月MBSを400億ドル買い入れ、量的緩和を実施し、また、2015年半ばまで低金利を維持することを決めました。 香港ドルは米ドルとペッグしているため、米国の金融緩和により、香港も金融緩和をせざるをえない状況に。香港金融管理局は香港ドルの対米ドルレートを1ドル当たり、7.75香港ドル以上7.85香港ドル以下のレンジに収まるよう管理しているため、米ドルの供給量が増えれば、香港ドルも供給量を増やさざるを得ません。
実際のところQE3発表後、香港には資金流入が続いています。香港金融管理局は香港ドルのレートを前述の範囲内で維持するために為替市場への大規模な介入を続けています(米ドルを買い、香港ドルを売る)。このようにして香港の銀行システムに大量の香港ドルが流入することになっています。この結果、香港では金融相場が発生し、QE3発表後、株価が大きく上昇しています。そして米国の金融緩和は長期にわたって続くことが明らかになっていますので、香港には引き続き資金流入圧力がかかることが期待されるところです。
結論として、共産党大会終了後、中国本土株は軟調な推移が続いている一方で、香港株はここまでに書いた金融相場到来で株価は上昇しています。しかし、中国経済は底打ちの兆しが現れている上、新政権による政策も2013年3月開催予定の両会に向けて順次決まってくると思われます。このように考えると中国本土株は割安でチャンスと言え、香港株は更なる上昇が期待できるところのように思えます。
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