選べるエスプレッソ、躍るラテアート
下北沢に住み、仕事の息抜きにラテを飲みながらほっとする時間は不可欠と、何年もの間、「カフェラテ代が月に3万円(笑)」という生活を送ってきた久保寺さん。おいしいラテを求めて、下北沢ばかりでなく東京各地、時には京都まで足をのばしています。バロンデッセはそんな彼が舌の肥えたお客さまの立場で「もっと、こうであれば」と感じてきた経験が実現されています。そのひとつが、エスプレッソ用の豆も選べること。
10年間バリスタとして下北沢のセガフレード・ザネッティで活躍するかたわら、優秀なベテランバリスタと勉強を重ねてきた藤宮晋さん。
「ワインと同じで、好みのコーヒーの味はこれが一番!と決められないでしょう? バリスタの藤宮くんがそのときどきで良いと思った豆を仕入れて、いつも店頭に2種類用意して、エスプレッソの味を選べるようにしています。それが、より多くの人達に上質のコーヒーを知ってもらえるきっかけになると思っています」
ゆえに、豆を挽くグラインダーもMAZZAERとマールクーニックの2台。エスプレッソマシンもラ・マルゾッコと、ジャパンラテアート チャンピオンシップで使用されるイタリアのダラコルテの2台がスタンバイしています。
エバーピュアの浄水器、よつ葉の牛乳、ビスコッティ専門店ココユタのビスコッティなど、エスプレッソやラテのクオリティを高める設備や素材、その時間をより楽しくするお菓子など、気球が集める素材は妥協のないものばかり。
右上:ファイアーキングのマグに抽出中。右下:ラテアート作成中
「バリスタは職人として質の高いドリンクを提供するだけでなく、お客さまに愛や美しさのあるサービスをしてほしい」と、久保寺さんが藤宮さんに力を入れるようリクエストしたのがラテアート。フォームミルクの模様とチョコレートを組み合わせているので、フリーポア(ラテアート)+イラストでデザインラテと言うべきでしょうか。。
味を優先してセレクトしたため、本来、ラテアート用には向かない豆ですが、藤宮さんはお客さまに楽しんでいただくために創意工夫。ちょうど店内に入ってきた常連客のアメリカ人女性が「ラテにOBAMAと書いて。大統領戦で彼が再選されたから」と注文したのを聞いて、私も「締切に追われるライターを励ますラテ」をお願いしてみました。
すべてはお客さまのために
疲れている人のために、チョコレート多めのデザイン。
「考えますから、ちょっと待ってくださいね」と言って藤宮さんがつくってくれたのが上の写真のラテ。本のページの上にチョコレートで「ファイト」のメッセージ。自分のためにデザインを考えて描いてくれたと思うと、小さな感動がありますね。
作例集の写真を眺めているだけで、微笑が浮かびます。さまざまなキャラクター。敬老の日スペシャルとして、小さなおじいちゃんとおばあちゃんの顔が並んだラテ。すべてはお客さまを楽しませるために。
たいていの人はラテを手にして笑顔になるそうですが、まれに「似てない……」などと、バリスタを打ちのめす反応が返ってくることも。
見せていただいた練習帳には、紙の上にボールペンでさまざまなキャラクターが試しがきされていました。幾筋ものボールペンの線が物語る試行錯誤の痕跡。
ロマーノ、ネイキッド、カフェリキッドなど、エスプレッソが全面に出たドリンクも充実しています。次ページをどうぞ。