ギャラリー併設のコーヒースタンドが誕生
頑丈に造られた昭和初期の建物を改装してオープン。
アートスペース併設のカフェといえば、コーヒーのクオリティはさほど期待できないという先入観を抱きがちですが、バロンデッセがコーヒーにかける情熱は並大抵のものではありません。マキネスティ、丸山珈琲、小川珈琲、アマメリアエスプレッソなど、大小の優秀なロースター各社から高品質のスペシャルティコーヒーを選び、10年のキャリアを持つバリスタが極上のラテをはじめ、さまざまなエスプレッソベースのドリンクを楽しませてくれます。
そしてとにかく、バリスタとの距離が近い! エスプレッソマシンもお客さまが手をのばせば届きそうな距離に置かれています。この近さもバロンデッセの狙いのひとつ。頭からつま先まで見せるのは、素材から技術まで隠しごとのない証。注文したドリンクがつくられる光景を本当に目の前で、バリスタと会話しながら満喫することができるのです。
BALLON D'ESSAI(バロンデッセ)=「観測気球」
フック、ベル、カメラのレンズ。いずれも気球にまつわる小物たち。
オーナーの久保寺敏美さんの本業はデザイナー。作品発表の場を求めている若手アーティストや美大生たちと、アートの好きな人々が気軽に集まれる場所として、ギャラリー併設のコーヒースタンドを開く計画を数年前からあたためていました。
「ギャラリーって入りにくいけど、そこにおいしいコーヒースタンドがあれば、誰でもすっと入っていけますよね。小さな場所で本格的なコーヒーを提供するというのは世界的な傾向。また新たな流れがきています」
秀逸なのは気球という比喩。BALLON D'ESSAI(バロンデッセ)はフランス語で「観測気球」を意味するそう。気球に乗って旅をしながら、自分の目で発見した「小さな良いもの」を集め、ゴンドラに乗せて運んでくる……そんなイメージ。
久保寺さんが空間アーティスト集団グリッドフレームに依頼した円弧を描く鉄製のフレームは、まさに気球のゴンドラを連想させるもの。スライドする鉄製の扉にとりつけられたレンズは、上空から小さな良いものを発見する道具。フックは発見したものを釣り上げるのに使うのですって。
バリスタが立つコーナーは、気球のゴンドラをイメージ。天井が巨大な風船に見えてきます。
気球に乗ったバリスタが選んだ「良いもの」とは、もちろんコーヒー豆と、それにまつわるあれやこれや。さっそく次ページでご紹介しましょう。