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スマートタウン探訪記 照葉スマートタウン~福岡市(2ページ目)

最近、徐々にですが「スマートタウン」と銘打った分譲地が登場し始めています。では、スマートタウンとはどのような特徴があるのでしょうか。実例から学ぶシリーズの第1回目として、福岡市の「照葉スマートタウン」をご紹介します。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

「照葉スマートタウン」で、積水ハウスが販売する「グリーンファースト ハイブリッド」には、大容量の蓄電池(8.96kWh、鉛式)が搭載されているのも特徴です。これもスマートハウスを理解する重要なアイテムなので、ここで改めてその特徴をおさらいしておきます。

蓄電池はどのくらい活用できる?

蓄電池は通常時の暮らしでは太陽光発電システムで発電された電気を貯めておくことができ、省エネ生活に大いに貢献することが特徴の第一点。さらにもう一つの特徴は、災害時の備えとなることです。同社の試算によると、冷蔵庫+液晶テレビ+照明(合計450Wh)なら約17時間継続して使え、つまり一晩以上の電気を蓄電池だけでまかなえるといいます。

蓄電池

「グリーンファースト ハイブリッド」。住戸に搭載されている蓄電池。停電時にも電力を確保でき、通常の暮らしを維持できるようにするアイテムとして注目を集めていた(クリックすると拡大します)

冷蔵庫+液晶テレビ+照明+エアコン(合計1050Wh)となっても8時間の運転が可能になるそうです。さらに、蓄電池があることで燃料電池を動かすことが可能になるため、ガスと水道が確保されていればお風呂に入ることができ、さらにそれで発電した電気も使えるとのことです。

スマートハウスやスマートタウンはエネルギー問題と関連づけて語られることが多いですが、とはいってもやはり大切なのは家としての基本、安心や安全も重要なポイント。読者の皆さんにはこうした点からも、この分野についてしっかりと検討していただきたいものです。

安心・安全といえば、「照葉スマートタウン」で積水ハウスが供給している住宅には制震システム「シーカス」も標準搭載されています。ですから、防災に配慮した基本性能の高い住宅が供給されているという点にも注目すべきだと思います。

また、「照葉スマートタウン」全体でみてみても、住民の交流に供給者が積極的に関わり、それにより生まれるコミュニティで子どもや高齢者の見守りを実施。加えて、24時間常駐のタウンセキュリティも導入するといい、こうした面からも安心・安全な質の高い街づくりが行われるのも特徴となっています。

ところで、私が「照葉スマートタウン」に注目し、皆さんにご紹介しているのにはいくつか理由があります。その一つは、私の出身地である福岡市で最先端かつ非常に良質な街づくりが行われているということを、単純に知っていただきたいこと。笑われそうですが、いわば私の郷土愛からきています。

スマートハウス・スマートタウン普及の試金石

ただし、良質な街づくりの事例には間違いなくあてはまると思います。「照葉スマートタウン」があるアイランドシティは元々、人口島であるという理由から、その立地特性を生かした街づくり、具体的には海辺に近い立地を生かした親水性のある景観が魅力です。

街区の模型

「照葉スマートタウン」の第1期分譲区画の模型。左手には入り江があり、そのランドスケープを生かした街づくりが行われている(クリックすると拡大します)

欧米ではランドスケープ(景観)が大きな要素として評価されます。それは周辺環境の特性を生かした街づくりを行うことで、将来的な街や住宅の資産価値の維持、向上につながると考えられているからです。この分譲地では、特に電線が地中化されているのもポイントといえます。

最近になって開発が進められている街ですから美しい景観なのは当然といえば当然ですが、ここまでコンセプトがしっかりとした街づくりの事例は、かなりの数の分譲地を取材してきた私からみて非常にハイレベルだと感じています。

もう一つは、「照葉スマートタウン」における街づくりが、今後のスマートタウンやスマートハウスの本格的な普及を推し量る試金石になりそうだということ。ここは人口島に立地し、交通の便は決して優れているとはいえません。

それでも今回発売された分譲物件の最多価格が6000万円台と、福岡市の中でも高額な分譲地の一つともいえます。ですから、導入されているスマート化やコミュニティ形成などの街づくりの仕掛けが消費者にどのように認識され、販売状況に反映されるのか興味深いところ。

福岡市は、東日本大震災の影響を色濃く受けた地域ではなく、人々のエネルギー問題(原発停止の影響は受けていますが)や防災意識はあまり強くありません。ですので、もしこのプロジェクトが成功するなら、全国的にもスマートハウスやスマートタウンが普及するのではないか、と考えられるのです。
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