スタンダードには戻れない、サーキットでは“別モノ”に
最高出力560ps/最大トルク680Nmを発生する4.4リッターV8ツインターボエンジンに、ダブルクラッチトランスミッションの7速M DCT Drivelogicを搭載。0-100km/h加速は4.3秒とされた
オウンリスクで高性能を楽しめるサーキットのような舞台に持ち込めば、M6カブリオレが別格であることを痛感するはずだ。
まずは、エンジンフィールである。スペックと仕様を何となく書き連ねただけでは、単なるブースト違いかと思ってしまうが、これが回すと雰囲気がまったく異なる。
M6用S63エンジンの高回転域における精密度と力強いパワーフィールは、圧倒的に“別モノ”だ。まわしても、力のタレがまるでなく、むしろ、より精密度を増して、力が芯に集り始める。右足が何か得体の知れない物に吸い込まれていくような気分のまま、車速がぐんぐん上がっていく。
そして、そんな高い速度領域における、クルマ全体の動きは、とてつもなく素直で快活、スタンダードとは比べ物にならないほどひき締まっているのだった。力の出し入れ、上下左右の動き、どれをとっても、同じ感覚、同じ速度、同じ質感で動くなどという芸当は、その素質の高さと相まって、BMW Mモデルでしか、体験できないものであり、ひとたびそれを高い速度領域で味わったならば、もうスタンダードには戻れなくなってしまうだろう。
実用とスポーツの高いレベルでの両立。それが、最新Mの正体であると言っていい。