フニュフニュと曲がっている「手すり」
最近では、駅の階段や公共施設で見かけるフニュフニュ手すりが、住まいのも登場。いよいよ、住設(住まいの設備道具)がファニチャー(家具)化した瞬間だ。
取手と杖の機能を併せ持つ手すりは、株)クネット・ジャパンの波形手すり「クネット」。
形状がユニークな波形手すり「クネット」 |
波形手すりは、「取っ手」のように使える垂直部と、「杖」のように使える水平部を連続させた波形のカタチが特徴。まっすぐな手すりと比べて握った時の手首の角度が自然なため、握り込みやすく、滑りにくい人にやさしい手すりとなっている。
2006年に施行されたバリアフリー新法のガイドライン(2007年7月旅客施設編ガイドライン、2007年12月建築設計標準、2008年1月都市公園ガイドラインそれぞれ発表済み)では、クネットは1段で、2段手すりと同等もしくは同等以上の機能を有するとして、ガイドライン・設計標準の適合商品となり、グッドデザイン賞も受賞している。
会場で、多くの来場者が立ち止まって興味を示すアイテムのひとつであった。
支えるカタチが表情を持ち始めた!
さて、今回のケアデザイン展では「つえ・ささえるデザイン」公募展結果を展示している。
主宰する社)日本インテリアデザイナー協会では、支えるものの象徴として「つえ」を取り上げ、つえの優れた機能性に加え、デザイナーやアーティストによる新鮮なつえアイデアを募集。「つえ」のイメージをプラスに転じて、人々の「杖」をつく事への抵抗感を払拭し、必要なときに気楽に「つえ」に手をのばせるような社会的ムードをつくることを目的とした公募展であった。
ウェルビーイング(TOSO)賞の「ninin二人で歩むステッキ」 |
中でも、ウェルビーイング(TOSO)賞を受賞した齋藤 佳さんデザイン:「ninin二人で歩むステッキ」が今回の展覧会趣旨を象徴していた。
「つえ」を単なる道具ではなく、主人を励ましながらいっしょに歩む人に見立てている。人間的な表情とつえをかけたり、モノをかけたりできるフックなど機能性を兼ね備えた、まさに「こころのケア」を意識したデザインである。
筆者もにぎる「ユー・ウィングペン」 |
リングつきのユニークなペンを発見。
思うように指を動かすことが出来ない方に使ってもらう為のボールペンは、ユニバーサルデザインの企画から販売までおこなうトライポッド社の「ユー・ウィングペン」
リングに指をかけ実際に使用してみるとこれがいい。
通常のペンとは感触も感覚もかわるが、「ペンをにぎって書く」という当たり前をあらためて確かめてしまう。
「にぎる」という行為にも無数の握り方があり、使う人によって様々な握り方の発見がある。普通のペンでは気づかないその視点が、どんな人にでも、どのような使い方をしても「書く」ことができるペンなのだ。
この他にもカラフルでユニークな形状のアイテムが異色をはなっていた。
最後に会場でも評判だった展覧会を記念した出版を次ページでご紹介しよう。