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今話題の「2.5世帯住宅」 その本質を深読みする(2ページ目)

最近、新たな居住スタイルの提案として「2.5世帯住宅」が注目されています。では、その魅力やメリット、居住スタイルというのはどのようなものなのでしょうか。この記事で詳しく解説します。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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2世帯住宅は当初、親世帯と子世帯を分離することで、同居する際の気兼ねや気苦労を解消することを目的にした居住スタイルでした。しかし、家族の関係やライフスタイルの変化から、近年はお互いに緩やかなつながりを保ち、協力し合えるプランニングとするのが大きなトレンドになっています。

各世帯のプライバシーの確保とコミュニケーションにも配慮

マイルーム

0.5世帯向けの「充実マイルーム」の様子。リビングと寝室が分かれた空間となっている。洗面台も内部にあり、キッチンと浴室、トイレ以外の機能が集約されており、自分らしい暮らしができる(クリックすると拡大します)

旭化成ホームズでは2.5世帯住宅について、そのプランニングノウハウを生かし、0.5世帯の快適性も追求した提案が取り入れられています。まず、注目したいのが0.5世帯の専用スペースとなる「充実マイルーム」。これは、0.5世帯(姉妹)が食事と入浴以外の生活行為をすべて自立して行えるように考えられた部屋です。

化粧台とウオークインクローゼットが用意されて、ベッドコーナーからリビングを見えないように配置するプランですが、1LDK(もちろんキッチンはありませんが)のような、自分らしさを表現しやすい心地よい空間となっています。

これにより、プライバシーが守られた、自分らしい暮らしが享受できるわけです。多世帯居住では、各世帯の生活リズム・スタイルが異なることが多いですから、「充実マイルーム」も親世帯のLDKを通らずに行き来できるような動線上の配慮も行われています。

ビッグテーブル

1階の親世帯のダイニングに設けられたビッグテーブルの様子(クリックすると拡大します)

このほか、2.5世帯を構成する家族が交流できるプラン提案として「ビッグテーブル」と「シェアライブラリー」も「ならでは」の提案といえます。ビッグテーブルは、例えば月に一度でも家族が集まって食事会ができるようにするダイニングスペースです。

シェアライブラリーは、子世帯の子どもと0.5世帯の姉が交流できるスペース。特に仕事を持つ女性は家族の中の情報通として、家族をつなぐ役割を果たしているケースが多いとのこと。姉が甥や姪と会話することは、彼らの成長を促すことにもつながりそうです。

さらに、将来の家族の増減へ対応する「どっちもゾーニング」という考え方も取り入れています。2世帯住宅には宿命として「親世帯が亡くなったあとのスペースをどうするのか」ということがつきまといますが、その難題に対応する設計といえます。2.5世帯住宅なら、親世帯が亡くなった後、そこに0.5世帯が住めばいい(その頃には結婚しているかもしれません)わけですから、スペースが無駄になる心配も少なくなるかもしれません。

2.5世帯住宅から見える新たな住まい方の可能性

ところで、ここまで2.5世帯住宅の0.5世帯を「姉妹」と表記してきましたが、もちろん兄弟であってもいいのです。最も2.5世帯として成立しやすいのが姉妹であるから旭化成ホームズの基本プランでそうなっているのであり、私もそう表記しているだけです。

シェアライブラリー

2階部分の「シェアライブラリー」の様子(クリックすると拡大します)

で、この2.5世帯住宅の面白さは、2.5世帯(2世帯でもいいかもしれません)を構成する人たちの人物像の広がりや、例えば3世帯住宅(あるいはそれ以上)であってもいいかもしれない、と思わせてくれる点です。つまり、居住スタイルというのはもっと自由であっていいのではないか、ということです。

私事で恐縮ですが、私の九州にある実家には現在、母が一人で居住しています。今回の2.5世帯住宅の話をよくよく考えてみると、例えばそこに母と母の兄弟夫婦が一緒に暮らしたっていいのではないか、なんていうことを私はイメージしました。高齢者同士の居住となりますが、母一人で暮らすより安心ですし、家族親戚にとって経済的でもありますから。

ところで、高齢者の兄弟姉妹が一緒に居住するなどというのは、あまり表面化してはいませんが、巷では結構よくあるスタイルではないでしょうか。ただ、住宅はそうした暮らしをする一人ひとりに、満足な住環境を提供できていなかったといえるかもしれません。

旭化成ホームズが提案する2.5世帯住宅が本当の姿は、このような従来、表に出てこなかったニーズに対しても、住まい手が快適に暮らせる住宅を提供できるのですよ、ということを暗示しているように感じられます。

そして、そこに住宅の本当の価値があるのだとも。私たち消費者も、住宅に対して単世帯または二世帯で住むという既成概念にとらわれるのではなく、あらゆる可能性を検討しながら住まいづくりに望み、それに対応してくれる依頼先が必ず存在するということを認識しておくべきだとも訴えているように思われます。

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