今回は、環境意識の高まりから最近話題にもなっている、土壌汚染について注目したいと思います。
実は私は、不動産業界に入る前は、環境分析の仕事をしていまして、この件につきましては多少なりとも興味と知識があります。
環境分析とは平たく言えば、生活環境の中に汚染物質が含まれているかどうかを、化学分析して調べる業務です。
従来の公害として有名なのは、水質汚濁が原因で起こった水俣病や、大気汚染のスモン訴訟など公の自然環境が汚染されたことによる一般の人々の被害というのが大半でした。
しかし最近になって、これらの他に土壌汚染が大きく取り上げられるようになってきました。
では、なぜ従来は土壌汚染は取り上げられなかったのでしょう?
もちろん法整備が水や空気に比べて遅れているというのも原因ですが、土地というのは所有者がおり、土地の汚染があったとしても、調査をする事の困難や被害状況の把握が難しいというのが大きな理由です。
これが、最近になって話題となってきたのは、ゴルフ場で芝の整備のための農薬によるゴルファーの皮膚炎や周辺水域への水質汚濁の原因が、土壌汚染と推測されたこと。
また、工場跡地をマンション建設しようとした開発業者が、土壌汚染が判明したことによりマンション分譲の中止や建築中の建物取り壊しなどを行ったというのが、大きく取り上げられたからでしょう。
近畿でも、平成12年に大阪府豊中市のマンション建設用地で、土壌中から基準を超える重金属や有機塩素化合物などの存在が判明し、地下水からも有機塩素化合物が検出されたので、8割がた出来上がっていた建築中の建物を取り壊した事がありました。
マンションの土地が汚染されていた、なんて事が周知となると、販売が思うようにいかなくなりますからね。
無理に完成させて販売するよりも、壊してしまった方が得策と考えたのでしょう。