利用者の多くは、偽造であることを知っているかいないかは別にして「個人輸入代行業」を名乗るインターネット上の薬販売サイトから入手しています。専門医の診断を受け、処方箋をもらうという本来の手順を踏まなくても入手できる手軽さから、こういったサイトの利用者は後を絶ちません。
問題は、このようなサイトを介して国内に持ち込まれるED治療薬が、製造方法・流通経路の両面で犯罪に結びついている点です。また、不用意な使用は健康被害を招く恐れがあるため、警察庁をはじめとする公的機関も注意を促す啓発活動に力を入れています。
薬販売サイトの半数が扱う「処方箋医薬品」
犯罪の温床にもなる不正な薬販売サイトの横行を阻むために活動している監視・認証機関に「レジットスクリプト」という組織があります。これはNABP(米国薬局協会)が認可している唯一の権威ある組織で、これまで2万以上の不正サイトを閉鎖に追い込んでいます。この組織が日本の薬販売サイトの実態をつかむため、2011年秋、グーグルとヤフーのサーチエンジン上で処方箋を必要とする医薬品に関して31のキーワードを使い、計3636件の検索結果を分析しました。
それによると、随時2000から4000の個別のウエブサイトが日本国内で処方箋医薬品を販売、あるいは販売促進していると見られています。そのうち約50%は明確に処方箋医薬品を販売していたそうです。そもそも、通販で処方箋医薬品が買えるということは、法的にあり得ないことです。
処方箋医薬品を謳うサイトの95%は不正サイト
95%は法律に従っていない不正なウェブサイトなので要注意
「不正」とは、処方箋の提出を求めずに処方薬を販売したり、無免許で営業したり、問題ある地域や犯罪組織から医薬品を輸入したりしている場合などを指します。
悪質な宣伝の例としては「米国FDA(食品医薬品局)が承認し、安全な薬を販売している」としたものや「薬局」と表示されてはいるものの、日本における薬局許可はなかったものなどの例が報告されています。
また、米国の薬局許可やFDAの承認といった証拠書面の提出を求めたにもかかわらず何も提出されなかったり、薬がどこで作られ、どんな経路で渡っているかの情報提示を拒絶されたりしたケースもあったそうです。
押収件数・点数ともに急増中
日本の税関が押収した件数と点数は、5年前の2007年に149件・11万3708点であったものが2011年には536件・7万8029点へと推移。件数で3.6倍となったものの、点数では3割強減少しました。しかし、2012年6月時点では339件・38万9285点と一転して急増。これはいずれも半期分ですから、それらを単純に2倍した年間ベースでは678件・77万8570点と推計されます。
押収されたものは、インターネットでの購入を主力とする個人輸入代行業者ルートが多いのが特徴です。販売目的で貯蔵している業者は複数の名前や住所を使って分散輸入しているため、追跡と実態把握を難しくしているようです。
大がかりな組織になると、混載コンテナを使い、偽ブランド品などと共に数十万錠単位で国内に持ち込むそうですが、押収されても販売事実がつかめないので逮捕に結びつかないそうです。
勢いを増す業界や公的機関の啓発活動
医師の処方による安全で安心な正規品を服用するように心がけよう
業界挙げての動きと並行して、警察庁や経済産業省、特許庁、厚生労働省などの公的機関も、それぞれの立場から偽造医薬品や未承認医薬品などについての注意を促す活動に力を入れています。
ED治療薬は正しく用いることで、男性の心身両面の性的な充実感を満たし、結果的にパートナーとの人間関係を深めるように働きかける生活改善薬の一種です。それだけに、使用にあたっては、専門医や専門機関の診察を受けて、正しく処方してもらうことが基本中の基本です。
便利だからといってネットの薬販売サイトを安易に利用せず、ED治療薬を処方している医療機関を受診して、医師の処方による安全で安心な正規品を服用するよう心がけましょう。
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