テクノポップ/アーティストインタヴュー

アーバンギャルド~生き残るための音楽(4ページ目)

アーバンギャルドが3枚のシングルに続き、新アルバム『ガイガーカウンターカルチャー』を10月24日(水)にリリース、そして全国ツアーへと。「今」が詰まった生き残るための音楽。処女と童貞の心は失わないアーバンの二人、浜崎容子さんと松永天馬さんにインタヴュー!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

サブカルと言えばコレを押さえてれば安心!

sayonarasubculture

さよならサブカルチャー

ガイド:
『さよならサブカルチャー』(2012年9月19日)は、今回のアルバム『ガイガーカウンターカルチャー』のプロローグ的シングルですね。“サブカルチャー”はその意味が時代を経て、また人によっていろんな解釈がされてきた言葉ですが、ここでは娯楽文化的な視点での“サブカル・カルチャー”に対するメッセージかと解釈します。アーバンとしては、もっと深い所に切り込みたい……そんなところでしょうか? でも、同時に「別れても好きな人」的なサブカルチャーに対する屈折した愛も感じます。
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さよならサブカルチャー (YouTube)

浜崎:
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アーバンギャルド

今や、元は日陰者だったサブカルがメインカルチャーに侵食していて、「趣味はサブカルです」なんて言う人もたくさん現れて。最初の頃は手に入りにくかったものが、脚光を浴びたお陰で入手しやすくなったことに喜びを感じていたりしましたが、ドンドン「サブカルと言えばコレを押さえてれば安心!」という教科書みたいな感じで店頭には並ぶ……。少しずつそれに「違和感」を感じ始めて。「今はこれが売れる」からなのか? 我々も色々カテゴライズされますがサブカルやアングラや言われたくてやってきたわけではなく、「好きだから」そうしてきたに過ぎない。人気が出ちゃったからファンをやめちゃう子みたいに、サブがメイン化してきて、そういう文化から離れた人も多いと思うのですが、今一度、自分を形作ってきた「愛すべきもの」たちに感謝の気持ちを述べて、それらを自分たちなりに消化(昇華)して、もう一度好きなものは好きだと言いたいと思ったのです。

松永:
「サブカル・カルチャー」言い得て妙ですね。
カテゴライズされることで、権威や資本が寄生してくるものが生理的に嫌いなんだと思います。サブカルチャーがサブカルと略され、なんかお手軽なアクセサリーみたいに扱われるようになって、傲慢ですが、僕が二十年来愛してきた文化の数々が汚されたような気がしたんですよね。でも、そこで「汚された」なんて感じる自分も過去を美化しているみたいで、嫌で。だからここで一度、自分の思い入れや「サブカル」愛を、文字通り棺に入れて爆破する必要があった。爆破した末に残ったものは何だったのか。現代の多幸感あふれるサブカルチャーの数々に足りない要素……怒りであり、反抗の精神です。いま必要なのはサブカルチャーじゃない。カウンターカルチャーだと直感したわけです。

魔女になるのを恐れる魔法少女!

ガイド:
では、アルバム『ガイガーカウンターカルチャー』に新たに収録された曲について。
「魔法少女と呼ばないで」ですが、“魔法少女”は単純なアニメキャラクターを超えた、ひとつの潮流とも言えるジャンルですね。よこたんが好きな魔法少女は? 「わたし」とか言わないでね。

浜崎:
言いませんって(笑)。一応、分別はある大人のつもりです。
そうですね、やはり当時一番夢中になったのは「セーラームーン」かな。魔法少女とはちょっと違いますが、「エスパー魔美」も憧れましたね。こちらは超能力ですが。あのハートのブローチは欲しかった。ちなみに私、セーラームーンと誕生日が同じです。

松永:
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アーバンギャルド

以前から「かわいいは病気」と喧伝してきた我々ですが、「さよならサブカルチャー」で初めて少女の成長、より深く言えば女性としての「老い」をテーマにできたことで、「かわいい」に対する執着も「醜くなりたくない」恐怖へと転化した。メイクアップやファッションの魔法を身にまとった、道行く女の子たちは誰しも魔法少女ですが、その実魔女になる恐怖を常に抱えている。ステッキは血だらけだし、ペンダントは砕けてるんです。コクトーの「恐るべき子供たち」は、成長によって、かつての自らの「子供らしさ」に自分自身が復讐される話でしたが、「かわいくなりたい」、そう願うほど「かわいさ」の魔法に復讐される。鏡を割ることは、可能なのか。

浜崎:
今や、女性は年をとることに対して罪だとか、罪悪だとか感じてしまうような風潮ですよね。10代、20代だけが人生ではないのに。

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