■場合によっては予想以上の手間と費用がかかることも!
売主が建物だけ売ってしまったり、貸し出したりしたら、どうなるのでしょうか?建物はまだ売主の名義ですから、売るなり貸すなりは、売主の自由にできる状態にあります。
もし建物を売られたり貸されたりすると、事情の知らない建物の買主・借主は、当然のごとく家に住んでしまいますよね。一旦住んでしまったら、占有権というものが発生します。この場合の占有権とは、建物を支配している意思があれば成立します。
そうなると、土地の買主である知人としては、契約上で約束されている建物の取り壊しをしていないのだから、「取り壊して欲しい」と売主に主張することになります。しかし、建物に人が住んでしまって占有権を主張されると、不要な費用や手続きに時間がかかり、なかなか自宅を建てることができなくなってしまいます。
裁判に訴えて、建物の明け渡しを受けたとしても、話し合いで立ち退いてもらったとしても、時間と費用がかかることは容易に想像できますね。
そして、これらの手続きにかかった損害は、売主業者に請求するわけですが、売主業者が逃げていたり、実質支払う能力がない場合、支払ってもらうことが現実では不可能となってしまいます。
すべて解決するためには、結局大変な労力と時間と費用がかかってしまいそうです。
■「買い手泣き寝入り」の手口を使う悪徳会社
「結局は売主のところに損害賠償の請求がくるんでしょ?そんなことをする会社なんて、ないよ!」と思っていませんか?残念ながら、それはちょっと甘い考えかもしれません。
売主は建物を取り壊さずに土地代金を得たことで、建物取り壊し費用を免れ、その上建物を第三者に売ったり貸したりすることで、さらに利益を得ることができます。
売主の会社がほとんど倒産状態、もしくは偽装倒産を目論んでいたら、こういう手段に訴えるのは常套手段でしょう。
そうなると損害賠償請求をされても、財産のない会社、もしくは負債が財産を超過している会社からは満足に取り戻すことはできませんよね。ましてや会社を潰して逃げてしまっていたら、探し出すだけでも大変です。
では、この知人はどうしたらいいのでしょうか?