3時間40分の大作映画「ナポレオン」、秋の夜長にぜひ
<1927年度・アベル・ガンス監督作品>■ストーリー(主なキャスト):
興業的には大失敗の作品でした。
半世紀以上経って、フランシス・フォード・コッポラが父のカーマインをオーケストラの指揮者にして上映、大ヒット、やっと陽の目を見ました。
ラスト20分ぐらい、カメラを3台使って撮影されたイタリア攻略シーンは圧巻であまりにも有名です(そういえば「西部開拓史」(1962年ヘンリー・ハサウェイ他監督)でも、カメラが3台使われていましたね)。
昨日(というか今日未明)観て、人間ナポレオン(アルベール・デュードネ)が見事に描かれている点に感銘を受けました。
私が抱いているナポレオンのイメージは、チビでデブで人の意見を聞かない、一日に数時間しか寝ない男……でした。「フランス語の辞書に不可能という言葉はない!」と叫んで、部下に砲台を取り戻すよう命令したのは、まあ、ナポレオンらしいです。
ジョゼフィーヌの息子と目隠しをして鬼ごっこするシーンなどは、微笑ましいというか、実をいうと驚きました。冒頭の少年時代のナポレオン、学校での雪合戦のシーンでは彼の負けず嫌いな性格がわかります。戦略家としての一面も垣間見えたのか、先生が彼をほめていたシーンも印象的でした。
地元コルシカ島で首に賞金を掛けられ、オールのない船一艘単身で脱出したナポレオン。洋上をさまよっていた彼を、偶然通りかかった船に助けてもらって、九死に一生を得えます。古今東西の英雄は皆、必ず何度か絶望的な苦難にさらされますが、奇跡的に克服しています。
■オススメの理由:
今回、観るのが2回目でしたが、フラッシュバック、パン、ロングショット、レールを敷いてカメラを走らせ、馬の失踪シーンを撮るなど、健在普通に使われている技法が、普通に使われているのも驚きました。
ネットでいろいろ調べての推測ですが(たぶん大学生の時と思われます)、一度TV放映されて観てました。朝方の5時ごろ終了、朝起きてきた母にドしかられた覚えがあります。
サイレントなので字幕からは目が離せません。子供が横にいたら、最後まで見る事とうてい不可能です。今回も家族が寝静まった午前1時から5時までかかりました。上映時間3時間40分程の大作です。
秋の夜長にオススメというより、秋の夜長にしか観れない作品です。レンタルDVDでご覧ください。