食と健康/食と健康の基礎知識

注目される「カロテノイド」ってな~に?(2ページ目)

近年、「カロテノイド」が食品の機能性成分としてよく聞かれるようになりました。カロテノイドは知らなくても、カロテンやリコピンなどはなじみがあるのではないでしょうか。カロテノイドとは何か、どんな作用が期待されているのかについてご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド


カロテノイドの強い抗酸化作用に期待

リコピン,脂溶性,オイル

トマトソースやガスパチョなどにオリーブオイルを加えるとリコピンの吸収もよくなります。

カロテノイドの中には、体内で分解されビタミンAが不足していると必要に応じてビタミンAに変わるものがあり、これをプロビタミンAと呼びます。β-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチンがプロビタミンAですが、β-カロテンがプロビタミンAの活性が最も高いため重要視されていました。リコピンなどは、ビタミンAに変わりません。

しかし近年は、β-カロテンだけでなくリコピンや、β-クリプトキサンチン、ルテイン、フコキサンチンなどのカロテノイドにも、活性酸素の発生を抑え、除去する作用があり、動脈硬化を予防したり、老化やがんの発生、アレルギーなどに対しても効果があるという報告が数多く見られるようになりました。

β-カロテンよりも、アスタキサンチンやリコピンの方が抗酸化作用が高く、また単一というよりも、数種類のカロテノイドを複合した方が発ガン抑制効果があるというような報告もあります。

特に、近年注目されているのは、日本でも増加傾向にある加齢性網膜黄斑変性病です。人間の網膜とレンズには、ルテインとゼアキサンチンが存在し、光による組織の酸化を抑制していると考えられ、これらの摂取が目の健康維持に有効ではないかと考えられ、今後の研究が期待されています。

カロテノイドを摂取する上での注意

とはいえ、こうした機能性もまだまだ研究の段階で、その有効性が明確になったわけではありません。

また一般的な野菜や果物を常識的に食べることは健康上推奨されることですが、過剰摂取には有害性もあるようです。

β-カロテンは、必要に応じてビタミンAと変わるため、過剰障害はないとされ、食事摂取基準の上限量も設定されていません。

しかし、高用量β-カロテン摂取については、フィンランドの喫煙男性に対するβ‐カロテンとビタミンEの介入試験や、米国の喫煙者・アスベスト暴露者に対するβ‐カロテンとビタミンEの介入試験では、肺がんリスクが増加する可能性が示されました。

また国立がんセンターの「がん情報サービス/がんと食事について」では、
「摂取量をふやす」際に、サプリメントを使って大量にとることには、慎重になったほうがよいでしょう。
と示しています。

またサプリメントではなく食品でも、静岡県の「商品テスト情報」によりますと、
野菜粉末製品はカロテノイドの補給源としては期待できません。野菜の粉末を主原料とした、粒状や粉末タイプの製品にはカロテノイド類はあまり含まれていませんでした。β-カロチンが多少含まれているものもありましたが、これは添加されたものでした。
と報告しています。

またカロテノイドは、ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化ビタミンと協調して作用を高め合うと考えられていますから、特定の成分を濃縮した食品よりは、野菜や果物、海藻など、幅広い食品から、バランスよく、おいしくいただくことが基本です。

カロテノイドは、水に溶けにくく油に溶ける性質を持っていますので、油とともに摂取すると吸収率が高まります。トマトソースやガスパチョなどを作る時にオリーブオイルと合わせて調理するのは、おいしくなるだけでなくリコピンを摂取する上でも理にかなっています。

参考/
・カロテノイド(花き研究所)
・カロテン,ルテイン,アスタキサンチン等のカロテノイドについて(日本食品分析センター)
・野菜のチカラ(健康日本21推進フォーラム)
・ビタミンAファクトシート(食品安全委員会)
・健康食品素材の化学的実証データベース
・平成20年度新たな健康の維持増進に関わる食品成分等に対するニーズ調査(まとめ財団法人 日本食品分析センター/文部科学省)
・がんと食事について(がん情報サービス)
その他

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