このような、日本ならではの通過儀礼を人生の節目として大切にして欲しいという思いも含め、『婦人画報×美しいキモノ 特別企画KIMONO展 at 百段階段』(開催期間:2012年9月14日~10月21日)が目黒雅叙園で開催されています。
そこで今回は、創刊以来107年に渡り日本女性の“美”を追求し続ける女性誌「婦人画報」と、59年の歴史を持つ着物専門誌「美しいキモノ」の企画&コーディネートによる『KIMONO展』のレポートをお届けします。
ここでしか見られない京の美と文化財のコラボは必見
人生のハレの場として84年の歴史を持つ目黒雅叙園の東京都指定有形文化財「百段階段」。その絢爛豪華な造りは、かつてここでは華やかな宴が行われ、人々が喜び楽しんできた様子がうかがえます。そして会場に負けず劣らずの展示品の数々。まずは見どころをPICK UP!■京都を代表する老舗、名家のコレクション
450年の歴史を持つ京友禅の老舗「千總」。コンサバ着物と言えば千總というほどオーソドックスで古典の王道を行くブランドです。この千總を代々受け継ぐ西村家秘蔵の婚礼衣装を展示。また、京染めの名家 田畑家の職人の魂の込められた作品は、そのセンスと技が光ります。
「千總」西村家婚礼衣装
三代 田畑喜八「波に鶴模様振袖」
■着物で観る日本女性の人生
実は日本における絹製品のシェア率は0.7パーセントと驚くべき低い数字です。ここに展示されているものはその貴重な国産絹で仕立てられた逸品。特に東北地方では震災以来生産ができなくなってしまったところも。作品の美しさや完成度に心打たれるばかりではなく、伝統技術の火を消さないために、私達が今何をするべきなのかを考えることも大切です。
通過儀礼ごとに分かりやすく展示されている
すべて貴重な純国産絹で仕立てられた逸品
■ファッションは生きている!婦人画報を彩った装いの歴史
時代に合ったファッションとしての着物の着方を常に提案し、着物通の教科書的存在ともいえる雑誌「美しいキモノ」と「婦人画報」の歴史を一挙に見ることがでる展示室も。
「婦人画報」、「美しいキモノ」の表紙を飾ったそうそうたる顔ぶれが並ぶ
KIMONO展を企画したハースト婦人画報社「美しいキモノ」編集長 棚町敦子氏によれば、「着物を日常的に着なくなった今の時代、例えば物作りの現場や着物の歴史、模様の意味などといった、物語性や背景というものが着物を着る上での大きな楽しみのひとつとなっています。そういった着物にしかないモノの背景にある奥深い楽しみを、できるだけ幅広い方々に伝えていければと考えています。昔と今では着物のあり方そのものが違ってきていますが、それは着物がファッションとして生きている証拠なのでは」とのこと。
時代と共に移り変わるファッションとしての着物をどう捉え、現代の私達にとっての着物のあり方をどう提案してくれるのか、これからもおおいに期待できそうです。