見どころ満載、カーリエ博物館攻略ポイント
壁画は聖書に出てくるシーンが多い。これはイエスがアダムとイブを救い出そうとしている「復活」
カーリエは見学スペースがかなり小さい博物館ですが、見事に残されたモザイク画やフレスコ画は必見。とりわけここのモザイク画は非常に緻密度も高く、芸術作品としてもレベルの高さをうかがえます。
天井いっぱいに広がるモザイク画は、当時国の経済状態がよかった証拠
当時、モザイク画は経費がかかる上に高い技術力を必要としていたため、より安価で装飾可能なフレスコ画が代わりに台頭してきたといわれています。このいい例がカーリエ博物館のパレクレシオンで、ここにはモザイク画がなく、壁と天井の装飾は全てフレスコ画であることから、増設当時、国の経済があまりいい状態ではなかったことが推測されるのだそうです。
こうして10世紀ごろには国内でモザイク画があまり見られなくなってきたものの、14世紀の末期ビザンツ時代には再びモザイク画が盛り上がりを見せており、その時のカーリエ博物館の修復にも豊富なモザイク画が採用され始めています。つまり、このころには再び社会経済が豊かになったであろうことを示しており、こうした修復時代による画法の変遷は、当時のビザンツ帝国の社会経済の状況を図る上でも重要だといわれています。
「祝福を与えるキリスト」はアヤソフィアとほぼ同じ構図が興味深い
外拝廊には主にキリストの生涯や奇跡の場面が、モザイク画で表現されています。「キリストの生誕」、キリストが水をワインに変えたことで有名な「カナの婚礼」、「祝福を与えるキリスト」、「患者を治療するイエス」などが見どころです。
ほぼ完璧な形で残る「マリアの逝去」は必見
一方、内拝廊と身廊にかけては、主に聖母マリアの場面がモザイク画を中心に表現されています。中でも奥側のドーム中央にある聖母子とパラクレシオン側にあるドーム中央にあるキリストは対をなしており、どちらも色鮮やか。このほか、「マリアの誕生」、「初めて歩くマリア」、「マリアを実家へ連れて行くヨゼフ」、「聖母とキリスト」など、マリアの人生の一連の場面をここで追うことができます。特に身廊から内拝廊に続く入り口上部にあるモザイク画「マリアの逝去」の傑作ぶりは素晴らしいのでお見逃しなく。そして内拝廊のパラクレシオン側にあるドーム下のフレスコ画「キリストと聖母マリア」の画も、ほほを寄せ合う聖母子の様子が情愛満ち溢れており、心癒される作品です。
メトキテスが増設したパラクレシオンには、旧約聖書からの宗教場面が主にフレスコ画で描かれています。とりわけ「最後の審判」、「復活」は見ものです。
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Kariye Muzesi(カーリエ・ミュゼシ)
開館時間:09:00~19:00(夏期。冬期は16:30まで)
休館日:水曜日
入場料:15トルコリラ
アプローチ:トラムT4線「Edirnekapi」駅から徒歩11分
TEL:0212-631-9241