モザイク画とフレスコ画が見どころ、カーリエ博物館
古い教会ながらも、内部に残るモザイクやフレスコ画はかなり保存状態がよい。ここはパラクレシオンと呼ばれる礼拝堂
カーリエ博物館、その大河な歴史
歴史深い建物だけど、壁画の色の美しさは格別。ドームの中央にあるのは聖母子
6世紀ごろ、ユスティニアヌス1世が地震で廃墟となっていたこの礼拝堂跡地に、より大きな修道院を建設するよう勅令を出します。ところが、建設が完了する前の557年に地震で再び崩壊。このためユスティニアヌス1世はさらに大きな修道院を建設させたのだとか。
コムネノス王朝時代には宮殿に近かったこともあり、コーラ修道院教会の宗教的重要性が高くなります。王朝の儀式などもここで行われるようになりますが、その後のイコノクラスム(聖像破壊運動)やさらなる地震で再び崩壊が進みます。
11世紀にはコムネノス王朝・アレクシオス1世の義母が教会を再建。これが、現存する教会建物の基礎とされています。さらに1120年にも建物の大部分が再建されます。
所々残るモザイクの細密さが素晴らしい。これは「聖母とキリスト」
メトキテスは、アンドロニコス2世が王位から降ろされたのに伴ってトルコ西部地方に流刑されますが、1330年に戻ってくるとコーラ修道院の修道士となります。1332年にここで亡くなると、自らが増設したパラクレシオンのニッチに埋葬されました。
こうして崩壊と再建を繰り返したコーラ修道院教会、考古学研究の結果、5つの時代にまたがる建築期を経て今の姿があるのだそうです。
漆喰に覆われいただけに、その色の美しさも残ることに
モスク化の際、こうしたモザイク画やフレスコ画が漆喰で覆われてしまったことは残念な歴史ですが、実際にはより良い環境で保存される結果となり、こうした漆喰のおかげで現在もその色鮮やかな美しさが鑑賞可能になったのです。