青の炎/貴志祐介 著
■出版社:角川書店■値段:667円(税別)
■作品概要及びおすすめの理由:
殺害計画から実行、犯行の露呈までを一貫して犯罪者側の目線で綴っている小説です。なぜ犯行に及ばなければならなかったのか、なぜ犯行がばれてはいけないのか、犯行に及ぶ上での精神的苦痛など、その心理が細部にわたり描かれています。警察やいわゆる探偵役からの描写が一切なく、潔いです。
犯罪者となってしまう主人公はごく普通の男子高校生です。一見無駄にも思える通学や毎朝の習慣、授業風景の描写。それらが殺害方法のヒントや犯罪露呈のきっかけという具合に後に伏線となって生かされてきます。
犯罪者目線からの作品の中でも異色作といえると思います。主人公が成長を遂げる青春小説でもあります。謎解き重視の作品とは違った面白さがありました。時にはこんなミステリーで胸のしめつけられるような切なさを感じてみるのも良いでしょう。