ドイツ軍潜水艦クルーたちの、極限までリアルな人間ドラマ
『U・ボート ディレクターズ・カット』
最後まで結末がわからなくて、見終わった後に「やられた!」と思う映画といえば『U・ボート ディレクターズ・カット』です。第2次大戦を舞台にドイツ軍潜水艦の乗組員たちが辿った運命を描く人間ドラマ。公開より長き年月を経てますが、『戦争物でこれを超える名作は出ないんじゃないのか?』と思う程の超名作です。この作品の最大の魅力は、あたかも自分がその中に居るような空気を感じる『人間描写』です。乗組員たちの恐怖や歓喜、極限状態などがリアルに伝わり、Uボートに乗り込んでいる隊員と共に見ている自分までが息を呑む連続となる事でしょう。
そんな、人の一生に匹敵するくらい『山あり谷あり』の苦難を乗り越えた後の艦長の台詞に感動。『これまで乗り越えて来たのだから、これからも大丈夫だろう』。そして、あの驚愕のラスト! 初めて観た時は、暫く呆然としてしまいました。戦争の残酷さという物を強烈に感じさせ、余韻を与えます。だからこそ、反戦精神も感じさせ。人にとって何が大事なのかという事にも思い馳せます。
書きながら『最近こういう余韻がない映画が多いな』と思います。こういう身に迫るような世界観を描け余韻を与える映画こそ、真の映画だと思う。そんな事をしみじみ考えさせるほどの名作です。最近はブルーレイ版も出ていますので、この世界観を是非楽しんで下さい。自分もBD版持っていますが、何度観てもやはり凄い作品だと思わせてくれます。