倒産の際にはしっかりとした準備が必要
ある日突然、勤務先の社長から会社が近いうちに倒産することを告げられたら……。あまり想像をしたくない出来事ですが、かつてのように右肩上がりの経済成長が見込めない現在では他人事ではありません。ただ、倒産の現場に遭遇する機会は滅多にないため、実際にその場になってみると、一体何から手をつければよいのか分からないことばかりです。
今回は、担当責任者が社長から内密に会社の倒産を知らされたとき、まず準備しなければならない4つのポイントを解説します。
なお、「倒産」は、破産のほか民事再生等の再建型の法的手続きや、私的整理も含む広い意味で用いられることも多いのですが、周到な準備が必要な法的手続のうちで取り扱われる件数が最も多い破産を念頭に、今回は解説をします。
まずは事業停止予定日を決める
事業停止予定日は重要なポイント
会社の倒産をうかがわせる情報が一旦外部に漏れると、売掛金を回収しようとする取引先などから厳しい催促を受けることになりますから、平常どおりに業務を行うことはほぼ不可能です。場合によっては、債権者の目があり、会社に立ち寄ることすらままならないこともあるでしょう。
倒産をうかがわせる情報としては手形や小切手の不渡り情報がその代表で、帝国データバンク等の企業信用調査会社でも、6か月以内の手形等の2回目の不渡りによる銀行取引停止処分を倒産速報として発表しています。そのため、日常的に手形等で資金決済をしている会社では、遅くても不渡り予定日の前日を事業停止予定日とせざるを得ないことが多いでしょう。そして、事業を停止する以上は、従業員もそれまでに全員解雇せざるを得ません。
このように事業停止の前後で、会社を取り巻く情勢は一変しますので、それをいつにするのかは大変重要なポイントなのです。事業停止後は盗難等により会社の資産が散逸するリスクも平時以上にありますから、事業停止後になるべく速やかに倒産手続きを申し立てられるよう準備を進めておきましょう。